ストーリー
ある夜、雪の夜道でジュヨン(オ・サナ)が忽然と姿を消した。バラバラ死体となって発見され、ジュヨンの婚約者の国家情報院捜査官であるスヒョン(イ・ビョンホン)は、自力で犯人を追い詰める決心をする。スヒョンはチャンが入手した捜査資料をもとに、ギョンチョル(チェ・ミンシク)という中年男が犯人だと特定。ギョンチョルとは血も涙もない凶行を繰り返す“悪魔”そのものだった。スヒョンはギョンチョルを見つけ出すがとどめを刺さず追跡用GPSカプセルを飲み込ませるだけだった。ギョンチョルに法の裁きを受けさせるのではなく、“完全なる復讐”を遂行することだった。報復に執着するスヒョン。善と悪の概念を超えた死闘の果てに、待ち受ける衝撃の結末とは―!?
引用元:Amazon
イ・ビョンホンと「オールド・ボーイ」などで知られる実力派チェ・ミンシクが共演するクライム・サスペンス。残忍な連続殺人犯ギョンチョル(ミンシク)に婚約者を惨殺された国家情報院捜査官スヒョン(ビョンホン)。復しゅうの鬼と化したスヒョンは、犯人に婚約者と同じ苦しみを与えるべく、執ようなまでに追いつめていく。「甘い生活」「グッド・バッド・ウィアード」でもビョンホンと組んだキム・ジウン監督がメガホンをとる。
2010年製作/144分/R18+/韓国
原題:I Saw the Devil
配給:ブロードメディア・スタジオ
劇場公開日:2011年2月26日
引用元:https://eiga.com/movie/55873/
登場人物・キャスト
- イ・ビョンホン - スヒョン
- チェ・ミンシク - ギョンチョル
- オ・サナ - ジュヨン
- チョン・グクァン - チャン
- チョン・ホジン - オ課長
- キム・ユンソ - セヨン
- チェ・ムソン - テジュ
- キム・シウン - セジョン
日本語吹き替え
- キム・スヒョン:高橋和也
- チャン・ギョンチョル:磯部勉
- チャン・ジュヨン:大原さやか
- チャン元班長:楠見尚己
- オ課長:ふくまつ進紗
- チャン・セヨン:寺門真希
- その他の日本語吹き替え:丸山壮史/藏合紗恵子/林和良/黒澤剛史/佳月大人/逢笠恵祐/江藤博樹/榊原奈緒子/伊藤春香/美名/海本きくえ/河西健吾
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/悪魔を見た
感想
最初に言っておきます……ネタバレを書きます。
そして、ものすごくグロいです……(-_-;)
グロには耐性がある方だと思っていましたが、本当のグロを知らなかっただけでした……(^▽^;)
本作の暴力描写や殺害描写を観ていると、「うえ……(-艸-;)」と胃の内容物がこみ上げて来そうになります。
いかに巷にあふれる暴力描写が、オブラートにデフォルメされたものかを思い知らされました。
例えるなら、アニメや漫画で車に轢かれたりしても、ちょっと血が出る描写だけで済まされることがありますが、実際に車に轢かれたら描写することもできないほど、悲惨なことになると言いますからね(>_<)
本作『悪魔を見た』は、とてもグロい作品ではありますが、そのような誤った認識をぶち壊してくれる作品でもありました。
さすが韓国映画というか、構図や演出、雰囲気作りが素晴らしい。
毎回、韓国作品の感想を書くときに言っていると思いますが、韓国の映画やドラマはとにかく構図や演出、雰囲気作りが素晴らしいのです。
またアメリカや日本の構図や演出とも違うんですよね。
上手く説明できないのですが、とてもドラマティックなのです。
ある夜、殺人鬼に恋人を殺されたイ・ビョンホン演じる国家情報院捜査官であるスヒョンは、
恋人を殺した殺人鬼を見つけ出し復讐することを誓うのです。
普通のミステリやサスペンス作品では、犯人を見つけるまでの捜査に時間を費やしますが、本作では物語の三分の一の段階で、ミンシク演じる殺人鬼のギョンチョルを見つけてしまうんですね(; ・`д・´)
それには驚きました。
こんなに早く犯人が見つかって「三分の二もの尺をどうもたすのか……(・・?」と心配になりましたが……杞憂でした。
『チェンソーマン』で知られる藤本タツキさんは大の映画好きとしても知られていますが、『ファイアーパンチ』という漫画を連載していたときのインタビューで、韓国映画の『チェイサー』に影響を受けたと答えていました。
バニラもまだ『チェイサー』を観ていないので詳しくは知らないのですが、『チェイサー』でも早いうちに犯人が判明するそうです。
その『チェイサー』と同じように本作『悪魔を見た』も先の読めない作品なんですね。
恋人を殺されたスヒョンは、ギョンチョルを見つけ出し、GPSを飲み込ませ「暴を以て暴に易う」のことわざのように暴力をもって、捕まえては逃がし、捕まえては逃がし、まるで狩りでも楽しむように「やられたらやり返す、千倍返しだ!」
を繰り返すのです。
犯人を野放しにしたら新たな被害者が出るとか、「窮鼠猫を嚙む」返り討ちにされたら元も子もないとか、色々ツッコミどころは満載なのですが、この繰り返しが物語としてとても面白いんですよね( ̄▽ ̄)
この殺人鬼のギョンチョルが、とても嫌な奴に描かれていて、スヒョンが何度もやっつけるシーンは痛快でカタルシスなのです(´艸`*)
よく「復讐しても殺された人は戻らない」「復讐なんて、彼女が悲しむだけだ」「憎しみは新たな憎しみを生む」などと語られますよね。
実際にその通りだとは思いますが、被害者の遺族など残された人の心境を考えると酷な話だとも思うんですよ(^▽^;)
第三者がとやかく言うべきではありませんが、人間は感情の生き物ですから、第三者の立場からしても、復讐心というか、近年「なろう」などで人気になっている「ざまぁ」を求めてしまうんですよね……。
この「ざまぁ」などの言葉や物語って、人間の醜い感情を煽っているようで下劣に見えるので、あまり好きではないのですが、そう思う気持ちとは裏腹に「ざまぁ」展開があるとスカッとしてとても面白いじゃないですか(^▽^;)
その心理は人の不幸を喜ぶ「シャーデンフロイデ」と心理学では呼ばれます。
そのような心理を巧みに煽って感情を誘導されていると思うと、いい気はしませんが、本能的な欲求だからこそ面白く感じてしまうんでしょう。
人間は遥か昔から、「コロッセオ」での剣闘士の戦いや、公開処刑の見物などを観て楽しむなど、今考えれば野蛮に思えることをしてきました。
ですが、人間は昔と今で変わったでしょうか?
いえ、変わっていません。
表上は、剣闘士の戦いや、公開処刑見物などの行為はなくなりましたが、ただ、置き換わっただけです。
その置き換わったものとは、漫画や映画、あるいは格闘技などの娯楽なのです。
このような映画を観て、楽しむということは剣闘士の戦いや公開処刑を観て楽しむ行為と何ら変わりません。
だから、この手の作品を観ることは、人間としての罪を見せられるという、原罪を背負うことだと思うんですね。
それでも、復讐は良くないと知りつつ、被害者がされたことと同じことを犯人にもしてやりたいと思ってしまう人間の心理……。
なんと人間とは罪な生き物でしょうか……。
スヒョンはギョンチョルを追い詰め、恋人がされたことの千倍にして返そうとするように、痛めつけるシーンの虚しさが最高なんですよ( ;∀;)
最後は虚しさしか残りませんが、復讐とは何なのかを考えさせられる映画でした。