ストーリー
04年に韓国で実際に起きた連続殺人事件をベースに、殺人犯と元刑事の追跡劇を緊張感たっぷりに描き出した犯罪スリラー。元刑事ジュンホが経営する風俗店から、女たちが相次いで失踪を遂げる。やがて店の客だった青年ヨンミンが容疑者として逮捕されるが、証拠不十分で釈放されてしまい……。韓国では観客動員数500万人以上を記録し、大鐘賞の作品、監督、主演男優賞など6部門に輝いた。L・ディカプリオ製作によるハリウッドリメイクも決定している。
2008年製作/125分/R15+/韓国
原題:The Chaser
配給:クロックワークス、アスミック・エース
劇場公開日:2009年5月1日
引用元:https://eiga.com/movie/54419/
登場人物・キャスト
- オム・ジュンホ:キム・ユンソク(山路和弘)- 元刑事。現在はデリバリーヘルスを経営している。
- チ・ヨンミン:ハ・ジョンウ(内田夕夜)- 連続殺人犯。客として風俗嬢を家に招いては惨殺している。
- キム・ミジン:ソ・ヨンヒ(木下紗華) - ジュンホに雇われているヘルス嬢。ジュンホの命令で、体調不良を押して仕事に出たところ、犯罪に巻き込まれる。
- ユ・ウンジ:キム・ユジョン(平田真菜) - 7歳になるミジンの娘。
- オジョ:ク・ボヌン (内田泰喜) - ジュンホの舎弟。
- イ・ギル刑事:チョン・インギ(志村知幸)
- オ・ウンシル刑事:パク・ヒョジュ(園崎未恵)
- 機動捜査隊長:チェ・ジョンウ(牛山茂)
- 機捜隊班長:ミン・ギョンジン(高橋翔)
- カン刑事:ソン・ヨセフ(武虎)
- パク刑事:ハ・ソングァン(内田泰喜)
- チェ刑事:チョ・ドクチェ(酒巻光宏)
- キム刑事:ホン・ジェソン(内田泰喜)
- ジマン刑事:パク・チマン(河本邦弘)
- キョンソク刑事:ク・テジン(伝坂勉)
- 担当検事:チョン・ギソプ(河本邦弘)
- 精神分析官:イ・ジョング(藤本譲)
- ソンヒ:オ・ウジョン(久嶋志帆) - ジュンホに雇われているヘルス嬢。
- ヒジョン:ユ・ジヨン(東條加那子) - ジュンホに雇われているヘルス嬢。
- ジヨン:キム・ソニョン(平田真菜) - ジュンホに雇われているヘルス嬢。
- クォン・ヘガプ:キム・ドッキ(藤本譲)
- クォン・ヘガプの妻:ソン・ヒスン(東條加那子)
- 借金男:チョ・ソギョン(伝坂勉)
- ヨンミンの姉:キム・ヨンソン[要曖昧さ回避](久嶋志帆)
- ヨンミンの義兄:パク・チンソン(酒巻光宏)
- ピョンス:キム・ビョンス - ヨンミンの甥。
- ソウル市長:チョン・ドンギュ(牛山茂)
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/チェイサー_(2008年の映画)
感想
※ネタバレあり。
韓国サスペンス映画は本当にすごいです(^▽^;)
構図とカメラワーク、そして泥臭さと画面の明暗による雰囲気作りはハリウッドすら凌ぐと思うほどです。
本作『チェイサー』は韓国サスペンスの中でも、観客動員数500万人以上を記録し、韓国のアカデミー賞と呼ばれる大鐘賞(テジョンしょう)の作品、監督、主演男優賞、他6部門に輝いた作品らしいです。
これは、日本でも話題になった『パラサイト 半地下の家族』の5部門制覇より、受賞数としては多いのです。
ですが、これほど韓国でヒットしていますが、万人受けする作品ではないんですね(^▽^;)
『パラサイト』はまだ、前半のコメディ要素などコミカルな演出もありながらの、社会風刺が利いた素晴らしきバランスで成り立った、万人受けとはいかないまでも人に勧められる作品ですが、本作『チェイサー』は人に勧められる作品ではありません。
残酷でグロテスク……観終わった後、なんとも言えない気持ちになります(´-ω-`)
しかも、さらに闇が深いのは本作が、実話をベースにした物語だということです……(実話ベースの話題性もあると思う)。
本作『チェイサー』は2004年に韓国で実際にあった、連続殺人事件をベースにしているそうなんですね……。
何という、業を背負った映画なのか……。
そんな映画を観て面白いと思う、人間の業の深さを突き付けられる思いです。
けれど、面白い……と感じるジレンマです(-_-;)
元刑事の風俗店の元締め、キム・ユンソク演じるオム・ジュンホは、自分の店の女性たちが次から次に消えていることで困っていました。
人手不足のために、風邪で寝込んでいるキム・ミジンという女性すら強制的に仕事に活かせるほどなんですね……(^▽^;)
ですが、そのキム・ミジンを向かわせた後に、客の男の電話番号のときに女性が消えていることに気づくのです。
このままでは、キム・ミジンまで売られてしまうと焦ったオム・ジュンホは急いで、その電話で知らされた場所の近くに向かい……客の男であるチ・ヨンミンを発見、逃亡劇の末に捕まえるんです。
が、その騒ぎを聞きつけた警察に、ジュンホとヨンミンは身柄を確保されてしまうのでした。
警察で取り調べを受けているとき……なんとヨンミンは自分が何人も人を殺していると打ち明けたのです……。
なんと物語の三分の一あたりで、犯人を捕まえてしまうんですね(; ・`д・´)
普通、サスペンスやミステリ映画は犯人を捕まえるまでの物語が主流ですが、本作では、早い段階で犯人を捕まえてしまうのです。
ですが、犯人を捕らえているにも関わらず、証拠不十分で「疑わしきは罰せず」チ・ヨンミンを捕らえることができず、釈放してしまうのですよ……。
この、犯人だとわかっているのに法律を盾にして捕まえられない歯がゆさ。
この映画の感想を読むと、警察の無能さが叩かれていますが、難しい問題なんですよね……。
「疑わしきは罰せず」は冤罪などを防ぐ役割もあるでしょうし……けれど、怪しい人物を釈放するべきではないとも思います……。
本作は社会風刺サスペンス映画でもあり、恐らく、そのような法律を風刺していると思われるのです。
明らかに犯人だとわかっている人物を、法律が裁けず、救えたはずの命を奪う結果となる……。
そして、物語は思いもよらない結末を迎えるのです……。
最後の最後まで、まったく展開が予想できませんでした(; ・`д・´)
前回の『悪魔を見た』でも書きましたが、『チェンソーマン』でおなじみの藤本タツキさんは本作『チェイサー』に感銘を受けたと『ファイアーパンチ』連載時のインタビューで語られています。
その感銘を受けた理由が、犯人が物語の三分の一の段階で捕まり、最後の最後まで展開が予想できないからというようなことを言われていたと思います。
なるほどでした(; ・`д・´)
決してオススメできる作品ではありませんが、最後の最後まで緊張感があって面白い作品には違いありません。
ハマる人には、ハマります。
本当に、人間はコロッセオで剣闘士の戦いを観ていた頃や、公開処刑を観ていた頃と何一つ変わっていませんね(^▽^;)