ストーリー
ニューヨークの裁判所。18歳の不良少年が実父殺害の容疑で裁かれようとしていた。12人の陪審員たちは評決の投票をするが、ただひとり陪審員8番だけが無罪を主張し、改めて審議が行なわれることに。それでなくても疲れきっていた11人は苛立つが、8番の説得によって次々と無罪に転じていく。はたして審議の行方は? レジナルド・ローズ脚本のテレビドラマを映画化。シドニー・ルメットがこの作品で映画初監督を飾った。
1957年製作/96分/G/アメリカ
原題:12 Angry Men
劇場公開日:1959年
引用元:https://eiga.com/movie/15997/
登場人物・キャスト
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/十二人の怒れる男
感想
ニューヨークの裁判所で、実父を殺害した容疑で裁判にかけられた18歳の不良少年。
12人の陪審員たちの内11人は少年を有罪だとしたが、ただ1人8番だけは無罪を主張した。
そこから、たった1人で11人の陪審員たちを相手に壮絶な議論が始まる。
舞台は一つの部屋の中だけで繰り広げられ、会話劇だけというシンプルな構成なのに、俳優たちの鬼気迫る演技と、有罪だった陪審員たちが議論によって判決を無罪に変える展開が熱くて、気づけば観終わっていました(; ・`д・´)
すごい映画です……。
以前観た『三島由紀夫VS東大全共闘』とも通じるところがあり、まさに言葉の殴り合い。
シンプルイズベスト「会話劇だけでこれほど面白くできるのか!」と感動すらしてしまいます。
陪審員たちは少年が有罪か無罪かを議論するのですが、有罪だと言っている陪審員たちの多くは感情論で少年が有罪だと判断していたのです。
感情論で人の運命を判断する危うさをこれほど描いた映画を知りません。
そんな感情論の陪審員たちを、8番は理論で黙らせていく姿はアッパレです。
そして、8番の主張に他の陪審員たちは次々に無罪に変わっていんですね。
それだけ観ていると8番の主張は正しいように思うのですが、映画では事件の真実が明かされることがないのです。
この、真相を明かさない演出が「もしかすると本当に少年は有罪かもしれない」という想像の余地を与えており、物語に深みが出ているのです。
「疑わしきは罰せず」、疑いは感情論なのです。
人一人の命運がかかっている裁判ともなれば、感情論は置いといて、弁証法のように議論を重ねて真実に近づかなければいけません。
これは同時に民主主義についても言えることで、民主主義は議論の上にしか成り立たないのでしょう――。