ユダヤの貴族、ユダ・ベン・ハーは友人であり、義兄弟であったメッサラの裏切りにより奴隷となり、ガレー船の漕ぎ手に堕とされ5年の歳月をメッサラへの復讐の機会を待ちながら過ごす。
そして、ガレー船の海戦の最中、船が破壊された際ベン・ハーは執念によって助かり、流れ着いた先でモーガン・フリーマン演じる少数民族の族長イルデリムに命を助けられ、二輪戦車(チャリオット)の選手として、ローマ帝国が主催する戦車競走に参加するのだった。すべては、友人であり、義兄弟であったメッサラへの復讐のために――。
本作『ベン・ハー(2016)』は総製作費100億円をかけて、ルー・ウォーレスの歴史叙事詩小説『ベン・ハー』を原作にした映画の五度目のリメイク映画になるそうです。『ベン・ハー』という大作映画があるのは知っていましたが、1907年のサイレント映画に始まり、1925年のサイレント映画、アカデミー賞を受賞した1959年の映画、2003年のアニメーション映画、そして本作が五本目なのだとか。
すごいですね『ベン・ハー』って( ̄▽ ̄) バニラは本作が初鑑賞なので、他の『ベン・ハー』と対比することはできませんが、大抵リメイク作品は酷評されると思います。だけどバニラの場合は初鑑賞ということもあって、先入観なく観れたので普通に歴史超大作だと思いましたよ。
一つ言うとすれば、やはり昔の作品よりも綺麗になり過ぎていて、泥臭い迫力が落ちているのは旧作を観ていませんが間違いないと思います。ですが、製作費100億円ということで、泥臭さを超越した洗練された映像美と、圧倒的なCG特殊撮影、小道具の完成度、歴史的考察のなされた世界観などが圧巻でした。
昔の撮影技術では表現できなかった、演出がこれでもかと盛り込まれ、これが現代映画の真骨頂だと思わされます。特に、物語終盤のメッサラとの戦車競走は迫力共に圧巻ですね。
いったい、どうやって撮影しているのやら? さらに旧作を調べてみたところ、『ベン・ハー(1959)』の副題が『ローマ帝国支配下のイェルサレムとイエス伝』らしいですね。
つまり、旧作『ベン・ハー(1959)』版はベン・ハーの半生を描きながら、同時にローマ帝国に支配されるイェルサレムの悲惨な現状と、イエスの半生を交錯させながら描くという高度な構成になっていたようです。
2016年版の本作もローマ帝国支配下の虐げられたイェルサレムの状況と、イエスの半生が描かれていましたが、どちらかというとベン・ハーに焦点が当てられ、イエスの半生は控えめに描かれている印象でした。
バニラが観ていたとき、ゴルゴダの丘にイエスが連行されるシーンでやっとその人物がイエスだとわかりましたからね(^▽^;)
いやいくら鈍感だとはいえ「気付くの遅すぎやろ……」と言われそうですが、イエスだと明確に提示するヒントがほとんどないんですよ……(ただ、気付かないだけで沢山あったんでしょうけどね(^▽^;))。
でも、存在感が薄いとはいえ、イエス・キリストだけあってストーリー上、そしてベン・ハー本人に大きな影響を及ぼしているのは間違いないです。イエスは赦しの大切さをベン・ハーに悟らせたことで、最後メッサラと和解することができるのですから。
他の方の感想を見る限り、旧版ではメッサラを赦さず復讐を遂げるんですかね(。´・ω・)? もしそうならこのハッピーエンドには賛否が分かれる結果になったと思いますが、何度もいうようにバニラは初鑑賞ですから違和感ないです。
だって、メッサラは憎めない奴に描かれているんですよ。メッサラだって好きでベン・ハーたち家族を裏切ったのではなく、裏切らざるを得なかった状況だったのです……。メッサラはイェルサレムに新総督就任のパレードの護衛の責任を担っていました。
ですが、ローマ帝国に恨みを持つ少年が、新総督を弓矢で射って暗殺未遂を起こしてしまうのです。当然、護衛役の責任者であったメッサラは監督不行き届きで、このままでは裁かれてしまうかもしれませんでした。
だからと言って、裏切られたベン・ハーたち家族の想いと、その後の悲惨な状況を思うと恨めしいでしょうけど、一方的にメッサラを責めることもできない作りになってるんですよね(´-ω-`)
昔の作品は悪党はどこまでも悪党というのが主流だったみたいな話を聞きましたが、近年の作品には悪役側にも悲惨な過去を背負わせて、大義名分を与える作りになっている作品が多いですよね( ̄▽ ̄)