ストーリー
「シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー賞の作品賞ほか4部門を受賞したギレルモ・デル・トロ監督が、ブラッドリー・クーパーはじめ豪華キャストを迎えて送り出すサスペンススリラー。過去にも映画化されたことのある、1946年に出版された名作ノワール小説「ナイトメア・アリー 悪夢小路」を原作に、野心にあふれ、ショービジネス界で成功した男が、思いがけないところから人生を狂わせていく様を描く。ショービジネスでの成功を夢みる野心にあふれた青年スタンは、人間か獣か正体不明な生き物を出し物にする怪しげなカーニバルの一座とめぐり合う。そこで読心術の技を学んだスタンは、人をひきつける天性の才能とカリスマ性を武器に、トップの興行師となる。しかし、その先には思いがけない闇が待ち受けていた。スタン役を「アリー スター誕生」「アメリカン・スナイパー」などで4度のアカデミー賞ノミネートを誇るブラッドリー・クーパーが務め、2度のアカデミー賞受賞歴をもつケイト・ブランシェットほか、トニ・コレット、ウィレム・デフォー、ルーニー・マーラらが共演した。2022・第94回アカデミー賞では作品賞に加え撮影、美術、衣装デザインの計4部門にノミネート。
2021年製作/150分/G/アメリカ
原題:Nightmare Alley
配給:ディズニー
劇場公開日:2022年3月25日
引用元:https://eiga.com/movie/95745/
登場人物・キャスト
- スタントン・“スタン”・カーライル - ブラッドリー・クーパー(東地宏樹)
- リリス・リッター博士 - ケイト・ブランシェット(塩田朋子)
- メアリー・エリザベス・“モリー”・ケイヒル - ルーニー・マーラ(國府咲月)
- ジーナ・クルンバイン - トニ・コレット(藤貴子)
- クレメント・“クレム”・ホートリー - ウィレム・デフォー(内田直哉)
- エズラ・グリンドル - リチャード・ジェンキンス(安原義人)
- ブルーノ - ロン・パールマン(廣田行生)
- ピーター・“ピート”・クルンバイン - デヴィッド・ストラザーン(金尾哲夫)
- フェリシア・キンブル - メアリー・スティーンバージェン(小林さとみ)
- キンブル判事 - ピーター・マクニール
- アンダーソン - ホルト・マッキャラニー
- 獣人(ギーク) - ポール・アンダーソン
- モスキート少佐 - マーク・ポヴィネッリ(斎藤志郎)
- ジェデディア・ジャッド保安官 - ジム・ビーヴァー
- ファンハウス・ジャック - クリフトン・コリンズ・Jr
- カーニー・ボス - ティム・ブレイク・ネルソン
- エルルード博士 - デヴィッド・ヒューレット
- ルイーズ・ホートリー - ララ・ジーン・コロステッキ
- ホーボー - スティーブン・マクハティ
- フィーフィー・ザ・バードガール - ダイアン・ベイチャー
- スタンのショーの観客 - ロミナ・パワー(カメオ出演)
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ナイトメア・アリー
感想
1946年に出版された名作ノワール小説『ナイトメア・アリー 悪夢小路』を原作に、野心にあふれ、ショービジネス界で成功した男が思いがけないところから、人生を狂わせていく様を描いた映画『ナイトメア・アリー』。
なんだか夢野久作っぽい雰囲気のある作品です( ̄▽ ̄)
過去のある主人公スタントン・カーライル(通称スタン)は、あることをきっかけに怪しげなカーニバル(見世物小屋)に迷い込み、ひと悶着の末に、カーニバルで雇われることになります。
そしてスタンはカーニバルで雑用の仕事を続けているうちに、カーニバルにいた読心術師ピーター・クルンバイン(通称ピート)から読唇術を学び、スタンは瞬く間に読唇術の才能を開花させ、カーニバルにいたメアリー・エリザベスと共に独立することを決めカーニバルを去ってしまうのでした。
ここから、話の雰囲気は大きく変わり第二部に突入した感じです。
カーニバルを去った二人は読心術の公演を各地で催しながら、生計を立てていたある日……スタンは読心術だけにとどまらず降霊術まがいなことを始めてしまうのでした……(^▽^;)
次第にスタンは降霊術詐欺に味を占め、大富豪の男を詐欺にかけようとするが……。
世界観が秀逸で、ディテールもしっかりしていますし、メタファーに溢れた作品でした。
何も知らずに観ても面白いのですが、視聴後に考察サイトを読んでみると、新たな発見があって作品の見え方が大きく変わる系の作品です。
本作『ナイトメア・アリー』はユング心理学、フロイト心理学がテーマに組み込まれていると思われ、考察サイトによると、本作は「エディプス・コンプレックス」と「エレクトラ・コンプレックス」を扱った映画だと考察されていました。
主人公スタンは物語の冒頭に自分の父親を殺し、逃げた先のカーニバルで読心術の師匠で育ての親のような存在のピートを殺し、そして最後はホルマリン漬けにされた赤ちゃんのエノクに憑依されて、富豪の男を殺してしまうのですが、「エディプス・コンプレックス」の語源となったギリシャ悲劇『エディプス王の悲劇』の物語を簡単に要約すると、父王に足を串刺しにして捨てられたエディプスは、成長して自分の父親と知らずに父王を殺してしまい、そして色々あって自分の妻と結婚してしまいますが、最後は真実を知ったエディプスは絶望して自分の両目を潰し、荒野を彷徨うという話だったと思います。
本作の『ナイトメア・アリー』の主人公スタンもエディプスと同じような運命をたどるんですよ……。
スタンも実の父親を殺し、最後は獣になってしまうのです。
その考察サイトを読んだとき「なるほど!」と様々なことが腑に落ちました。
正に、本作は多重構造になっていて、冒頭にもいったように夢野久作の『ドグラ・マグラ』のような感じなのです。
ですが『ドグラ・マグラ』のような理解不能な難解さではなく、エンターテインメントとして成立する、理解できる難解さだと思いました( ̄▽ ̄)ゝ