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ゆる~くアニメだとか、映画の感想文

アニメ 歴史/ドラマ『ヴィンランド・サガ 2期』「よく聞けトルフィン。お前に敵などいない。誰にも敵などいないんだ。傷つけてよい者などどこにもいない。本当の戦士には剣など要らぬ」

引用元:vinlandsaga.jp

ストーリー

新たな千年紀を迎えたデンマークユトランド半島南部。 仇敵・アシェラッド亡き後、生きる目的を失ったトルフィンは、「奴隷」として地主・ケティルに買われ、彼が所有する農場で開墾作業に従事していた。 そこで、同じく奴隷の身分へと堕ちた青年・エイナルとの出会いをきっかけに自らが犯した罪と向き合い、生きる意味を見出していく。 一方、イングランド王に即位したクヌートは「楽土」の建設に向けて、さらなる版図の拡大を目論んでいた。 これは”本当の戦士の物語(サガ)” プロローグのその先にある”償いと救済の物語(サガ)”。 ©幸村誠講談社ヴィンランド・サガ SEASON 2 製作委員会

引用元:アマゾンプライムビデオ

登場人物・キャスト

主要人物
トルフィン
声 - 上村祐翔石上静香(幼少期)[3] / 松岡禎丞(朗読劇、LORD of VERMILION IVも同キャスト[4]
物語の主人公。本名、トルフィン・トールズスソン[注 5][注 6]アイスランド出身。後に「侠気のトルフィン(トルフィン・カルルセヴニ)」とあだ名される。作中における誕生日は2月3日[5]
ヴァイキング集団の首領・アシェラッドに父親を殺され、その復讐のために仇であるアシェラッド兵団の中で少年時代を過ごす。金髪で茶色の瞳、長めの髪はいつもボサボサで、服装にも頓着しない。2本の短剣(1本は父親の形見である)を武器とする。戦場の中で育ったので、極めて無愛想で無口だったが、クヌートの身辺保護を任されるようになってからは、少しずつだが口数が増えていた。兵団にいた頃は、戦いで得られるアシェラッドとの決闘の権利と、幼年期にレイフから聞いたヴィンランドだけが心の拠り所であり、関心事であった[注 7]

 

アシェラッド
声 - 内田直哉[6] / 山路和弘(朗読劇)
職業的ヴァイキング集団、アシェラッド兵団の首領。デンマーク出身。
飄々とした人物で、手腕は冷酷非情。常に先を読み、人の才覚や性格を見抜き操る術にも長ける。トルフィンには仇として命を狙われながらも、持ち前の口の上手さで彼を手下として使いこなす[7]。短髪であご髭をたくわえ、常にローマ風の一枚プレートの胴鎧(ロリカ)を身につけている。また、正式の場ではトーガのようなものを身に纏う。なお、トルフィンからは「ハゲ」と呼ばれる。

 

声 - 小野賢章[6]遠藤綾(幼少) / 天﨑滉平(朗読劇)
デンマーク王スヴェンの次男。作中における誕生日は7月12日[8]
女性と見紛うほどの美形。幼少時から宮廷での政争と父からの抑圧にさらされていたため、非常に臆病な性格で、お付きのラグナル以外に口を開くことがなかったが、同い年であるトルフィンの挑発的な態度に対して激昂し、初めてラグナル以外に口を開いた。料理なども趣味とする非常に優しげな性格だが、このような性格になった要因のひとつはキリスト教信仰にあるとスヴェン王に評されており、を「我らの父」、「天の父」と呼び、実父と重ね合わせて絶対的なまでの愛情を抱いていた。

 

レイフ(エイリークの子、レイフ)
大西洋を旅する陽気なオジサン。グリーンランド出身のキリスト教徒。幼いトルフィンにヴィンランドの旅の話を聴かせる。
義理堅い人物で、トールズの恩に報いるためにも行方不明のトルフィンを11年間探し続けていた。1014年にヨークにてトルフィンと再会、一緒に帰ろうと説得するが、復讐に燃えるトルフィンに拒絶されてしまう。それでも彼をアイスランドに連れて帰る事を諦めておらず、奴隷になったトルフィンを身受けしようと各地の奴隷市場を探して回った結果、ケティルと出会い、ケティルの農場にてトルフィンとの再会を果たす。その後は彼と彼の兄弟となったエイナルを伴ってアイスランドへと戻った。
実在の人物で、実在の人物である同年代生まれのトルフィンとともに、ヨーロッパ人としてはじめて北米に到達した人物として知られる。

奴隷編

ケティル
トルフィンを奴隷として買ったデーン人の大地主。
昔はその勇猛な戦いぶりから「鉄拳のケティル」の異名を取った戦士だ、という逸話が若い戦士の間で知られているが、実は「鉄拳のケティル」とは同名の別人であり、周囲の勘違いを否定せずに利用しているだけである。この事実を知っているのは本物の「鉄拳のケティル」との面識がある「蛇」、秘密を打ち明けたアルネイズのみである。
自ら率先して農場で働く勤勉な人物。エイナルやトルフィンに自由身分を買い取るための方策を与えたり、自らの農場に盗みに入った幼い兄妹の身の上話に同情して涙ぐんでしまうなど、温和で優しい性格の持ち主。しかし、強さこそを第一とするデーン人社会においては、その気質は欠点であり、体面を保つために望まぬ行動をとらねばならないことに苦悩している。
トルフィンとエイナルに対しては「働き者」と評価しており、彼らが自由身分を買い戻した後も農場で働かないかと誘う。
 
エイナル
ケティル農場に新しくやってきた奴隷。ノルド系イングランド人で、ノルド語とイングランド語に堪能。元は農夫であるため、農事にくわしい。その出自から村に略奪を働く戦士達を憎んでいる。農場に連れて来られるまで何度も脱走を試みており、その度に罰を受けていたがあまりへこたれていなかった。
 
オルマル
声 - 林勇[10]
ケティルの息子。次期当主だが、自分をケティルの息子としてでしか扱ってくれない周りに嫌気がさしている[注 13]
本人は剣で名を上げたがっていたが、実際はその腕も度胸もなく、クヌートにケティル農場接収の口実作りとして利用されてしまう[注 14]
 
トールギル
声 - 楠大典[10]
ケティルの長男。クヌートの元従士で、大柄で腕っ節が強く、戦いを好む典型的なヴァイキング気質の人物。
クヌートの策略をいち早く察知しながら、あえてオルマルを煽って戦闘の口実を作らせた。
 
パテール
声 - 家中宏
ケティル農場の奉公人。ケティル農場の経理を担当しているが、奴隷あがりのため、奉公人からはうとまれ、目の仇にされている。
律儀で誠実な性格で、奴隷身分のエイナルやトルフィンに対しても公正な態度を貫き、農場内で事件が発生した折には、自ら徹底した捜査を行って彼らの窮地を救ったこともある。しかし公正であるがゆえに、貧しさから盗みを働いた子供に対しても厳格な態度をとる[注 15]
 
アルネイズ
ケティルの女奴隷。ケティルに気に入られ、愛人として保護されているが、それゆえ解放される事を諦めかけている。ケティルの正妻からは目の敵にされ、辛辣な態度をとられている。心優しい性格と美貌を持ち合わせ、エイナルに一目惚れされる。
 
スヴェルケル
声 - 麦人[10]
ケティルの父で、先代の当主。気難しい人物だが、エイナルとトルフィンを見て彼の仕事を手伝う代わりに、二人に馬と重量犂を貸し与える。ケティルの農場経営方針を疑問に思っており、あまり折り合いが良くない。キリスト教徒だが文字が読めないので「蛇」に聖書を読んでもらっている。トルフィン達とともにアルネイズと夫の逃避行を助ける。
奉公人たち
自前の耕作地を持たず、ケティル農場で雇われている。自分らより身分の低いトルフィンら奴隷をいじめることでプライドを保っている。トルフィンとエイナルが耕した畑を荒らし、エイナルに問い詰められてシラを切ったため喧嘩となる。
「客人」
ケティルが雇っている農場の用心棒。「蛇」が言うには、「ヘマをやらかしたせいで、本名を名乗れない」者たち。故に構成員は「蛇」自身を含め皆「キツネ」(声 - 高橋伸也)、「アナグマ」(声 - 後藤ヒロキ)など、動物の名前を通り名にしている。
 
「蛇」
声 - 小松史法[10]
「客人」たちのリーダー。
奴隷に対し悪ノリした客人たちを制裁したり、トルフィンら奴隷にも気さくに接するなど公平な人物。部下の命を大事にする一方、スヴェルケルとウマが合うようで、彼の小屋によく入り浸っている。「客人」の中でも腕が立ち、トールギルに剣を教えたのは彼のようである。教養があり、ベッドに寝たきりになったスヴェルケルに聖書を読み聞かせている。洞察力にも長け、トルフィンの戦士としての性質をいち早く見抜いていた。
声 - 佐藤拓也
スヴェンの長子、クヌートの兄。スヴェンの死後、デンマーク王位を継ぐ。イングランドを治める弟クヌートとは良好な関係を保っていたが、1018年、病に倒れそのまま崩御。嫡子がいなかったため、デンマークはクヌートが継いだ。作中では、両王国の盤石化を図ったクヌートによる暗殺(毒殺)となっている。
ウルフ
声 - 間宮康弘
クヌートの従士長で、剣の達人。トールギルを部下に持つ。クヌートの命により、短気なオルマルを利用してケティルを逮捕すべく部下をけしかける。
クヌートと共にケティル農場へ兵を進めた時は、海から奇襲を仕掛けたトールギルからクヌートを守るために奮戦して追い返した。このとき右目を失っている。
トルフィン(ギョロ目)
声 - 橘龍丸
トルフィンの名を持ち、トルフィンと似た特徴(年齢、金髪、茶色の目)を持つ青年。そのためトルフィンと間違えられてレイフに買い取られた元奴隷。現在はレイフの養子になっており、その目付きから「ギョロ目」や「ギョロ」と呼ばれている。イェリングでオルマルと諍いを起こす。思ったことを逡巡なく口にしてしまう良くも悪くも素直な性分であり、元奴隷である暗さを感じさせない。落ち着いたトルフィンやエイナルと比べ、物事へのリアクションが大きく、何かにつけ騒いでいることが多い三枚目な人物で、コメディリリーフ的存在。
レイフに付き添って、トルフィン達の北海横断に同行することになった。
ガルザル
声 - 増元拓也
ケティル農場に現れた逃亡奴隷。アルネイズの元夫。帰る家を失ったのち自身も奴隷身分に落とされ、デンマークの農場で働かされていたが、農場主とその一家を殺して逃亡、ケティルの農場で暮らすアルネイズを迎えにくる。戦士としてはかなりの腕前で、「客人」を何人も血祭りに上げるも深手を負い、最期はアルネイズに看取られて息を引き取った。

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ヴィンランド・サガ

感想

 父であるトールズを殺した男アシェラッドへの復讐のために旅立ったトルフィンだったが、復讐は果たされぬままアシェラッドは亡くなり、生きる目的を失ったトルフィンは王への反逆罪によって奴隷の身分に落とされ、農場主ケティルの元で奴隷として働いていた。

引用元:アニメ『ヴィンランド・サガ2期』

 虚無に陥っていたトルフィンは、住む村を襲われ、家族を盗賊に殺されて奴隷身分に落とされたエイナル

引用元:アニメ『ヴィンランド・サガ2期』

との出会いをきっかけに「戦争と奴隷のない平和な世界」を造るという目的を見つけ出し、ヴィンランドを求める血の流れないトルフィンの新たな戦いが始まる!

 

 すごい漫画ですよ(TΔT) よく言われることなんですが、この作品は最初何の話かパッと見てわからないし、盛り上がりも緩やかで、話しが哲学的な上にスカッとしない後味の悪い回もあり、読みやすい漫画の鉄則に従っていないため、離脱してしまう人も少なくないのだと思います。

 

 ですが、様々な哲学的要素が詰め込まれた思想書のように重厚で、すごい漫画の一言に尽きます! あえて要約するなら主人公トルフィンの贖罪の物語と言うべきでしょう。

 

 トルフィンは戦争で多くの人を殺した罪の意識に苦しんできましたが、その罪を償うために自分が殺して来た人々よりも多くの人々を救うために、ヴィンランド、今のアメリカ大陸に平和な国を造ろうと立ち上がるのです。

 

 つまり『ヴィンランド・サガ』とは、ヴィンランドに至り、国造りする物語ということになるのです。今まで暴力で問題を解決してきたトルフィンが、非暴力によって弱き人々を救う決意を固めるまでの目標提示が、漫画では14巻かけて、アニメなら50話近くかけて丁寧に語られてきたのです。

 

 こんな酷いことしかない世界で何故生きなければならないのか……「今まで生きてきて、いいことひとつもなかったよ……」とトルフィンはいうのです(;´∀`) 戦場という地獄を生きてきたのですから当然ですよね( ;∀;)

 

 トルフィンだけではなく、この物語に登場する人々はみんな苦しみを抱えていて、第二期の代表的な例でいえばアルネイズさんでしょう。

引用元:アニメ『ヴィンランド・サガ2期』

 アルネイズさんは旦那や村の男たちが泥炭地をめぐる争いで留守の際に敵の襲撃に遭って、子供と引き離され、彼女は奴隷としてケティル農場に売られてしまったのです( ;∀;)

 

 ケティル農場に来てからは、ケティルの嫁さんのいびりを受けながら、ケティルの子を宿し、新たに産まれる子供のために頑張ろうと思っていたら、旦那のガルザルがアルネイズの前に現れて……そのことで怒ったケティルの激しい暴行を受けて……亡くなってしまうという……(;´∀`)

 

「人生は地獄よりも地獄的である」と芥川龍之介が書いていますが、本当にみんな地獄よりも地獄的な人生を送っている時代なんですよ(;´∀`) それでも、生きることを肯定し、どんなに残酷でも「この世界は生きるに値する」という何かが作品から感じられるのです。

 

 まるで、福音書のような話しだと思います。福音書にも多くの苦しむ人が登場するのに、神は助けてくれず沈黙を貫いている。そこに、イエスが現れて人々に愛を説く。

 

 遠藤周作の『イエスの生涯』という本で、無力なイエスという考察がなされているのですが、その考察では、イエスは徹底した非暴力主義によって愛を説いたのです。本作のトルフィンもどんな暴力を振られようと、徹底してやり返さない非暴力主義を掲げます。

 

 それには父であるトールズの「よく聞けトルフィン。おまえに敵などいない。誰にも敵などいないんだ。傷つけてよい者などどこにもいない。本当の戦士には剣など要らぬ」という非暴力の教えがあったからでしょう。そんなトルフィンの姿が遠藤周作が考察したイエスと重なるんですよ( ̄▽ ̄)  

PV

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