ストーリー
1933年、ヒトラーに取材した経験を持つ若き英国人記者ガレス・ジョーンズには、大いなる疑問があった。世界恐慌の嵐が吹き荒れる中、なぜスターリンが統治するソビエト連邦だけが繁栄しているのか。その謎を解くために単身モスクワを訪れたジョーンズは外国人記者を監視する当局の目をかいくぐり、すべての答えが隠されているウクライナな行の汽車に乗り込む。やがてウクライナの凍てついた地を踏んだジョーンズが目の当たりにしたのは、想像を絶する悪夢のような光景だった……。
引用元:GYAO!
登場人物・キャスト
- ガレス・ジョーンズ: ジェームズ・ノートン
- エイダ・ブルックス: ヴァネッサ・カービー - ニューヨーク・タイムズモスクワ支局記者。
- ウォルター・デュランティ: ピーター・サースガード - ニューヨーク・タイムズモスクワ支局長。
- デビッド・ロイド・ジョージ: ケネス・クラナム
- ジョージ・オーウェル: ジョゼフ・マウル
- マシュー: ケリン・ジョーンズ
- ユリア: ミハリーナ・オルシャンスカ
- ポール・クレブ
- クシシュトフ・ピチェンスキ
- ベアタ・ポズニアク
- ジュリアン・ルイス・ジョーンズ
- フェネラ・ウールガー
- マルチン・チャルニク
引用元:『Wikipedia』
感想
ソ連のスターリンは社会主義・共産主義思想を推し進め、集団農場(コルホーズ)での集団農業を行い、プロレタリアたちが収穫した作物を平等に分配するという名目で搾取しました。そのために起こったのが人工の大飢饉、ホロドモールです(´-ω-`)
ホロドモールによる犠牲者数は一説には1000万人以上、2000万人近くの人々が命を落と言われています。一人の死は悲劇だが、数百万の死は統計とは言っても、1000~2000万人って……とんでもない数です……。
まだ一世紀ほど前のつい最近の話だというのだから……。中でも、このホロドモールの悲劇を表現していたのは、主人公のガレスがソ連の監視の目をかいくぐりウクライナに潜入しますが、食べるものもなく、飢えと寒さで彷徨っているときに、小屋を見つける場面です。
その小屋には子供たちだけが住んでいて、お腹を空かせたガレスに子供たちは貴重な肉を恵んでくれるんですよ。自分たちの食べる物にも苦労しているのに、見知らぬ男に肉を恵んでくれるなんて、何ていい子たちなんでしょう( ;∀;)
ですが、大飢饉でどこにも食べる物がないのに、どうして子供たちが肉を持っているのかガレスは不思議に思い問うんですね……。
「この肉はどこで?」
肉を恵んでくれた少女は「コーリャ」と答えた。
「それは誰?」
「お兄さんよ」
「お兄さんか」
少女は肉を食べながらゆっくりうなずいた。
「猟師なの」
子供たちは答えなかった。
「どこにいるの」
得体の知れない胸騒ぎがガレスを襲い、ガレスは家の中を奥へ奥へと進んでいくと、裏口から外を見ました。そこには……死んだ何者かの遺体が雪の上に寝かされていました……。意味がわかれば怖い話ですよね……。そんな地獄のような状況を、作中で子供たちが唄っているんですよ。
〈飢えと寒さが――〉
〈家の中を満たしている――〉
〈食べるものはなく――〉
〈寝る場所はない――〉
〈私たちの隣人は――〉
〈もう 正気を失ってしまった――〉
〈そして ついに 自分の子供を食べた――〉
飢饉際の人肉食を罰することができるでしょうか……。この手の倫理道徳的問題にカルネアデスの板というものがあります。人を殺さなければ生きられない場合、人を殺しても良いかという問題ですね。
どっちつかずで申し訳ありませんが、バニラはこんなホロドモールのような悲惨な現状を見てしまったら、どちらともいえなくなってしまいます( ;∀;) しかも原因は自然の摂理で起きたことではなく、スターリンという一人の男の意思により引き起こされた人災なんですよ……。
もっと早く、ソビエト連邦内で起きているホロドモールの悲劇が報道され騒ぎにならなかったのか、つくづく不思議に思いますが……ジャーナリストたちはみんなソ連により買収されていたからです……。
いけないことだとはわかっていますが、バニラは買収されたジャーナリストの人々を責めることができないんですよね……。もし、バニラがジャーナリストでホロドモールの現状を知っても、ソ連という大国を敵に回して戦うことはできないでしょうから(;´∀`)
以前イスラム国に殺されてしまったジャーナリストの後藤健二さんの時、自己責任論が一時騒がれていましたが、命をかけて真実を報道するために尽力してくれているのに、危ない目に遭ったら結局は自己責任にされて叩かれるんですよ(;´∀`)
あまりに酷過ぎます……。昔の人たちがやっとのことで勝ち取ってくれた報道の自由・表現の自由を否定する発言です。ガレスはソビエト連邦を敵に回してまで、真実を報道しましたが、まったく信じてもらえないんです……。
けれど、ガレスは必死に訴え続け、大手報道機関の後ろ盾を得てやっとホロドモールの現状を多くの人たちが知ることとなったのです。社会主義・共産主義を否定するつもりはありませんが、こんなもの社会主義でも共産主義でもありません。
現代は食品ロスと言われるように、大量生産し大量に廃棄する方が利益になる社会になりましたが、今の社会をホロドモールで餓死した人々が観たらなんて思うでしょうね。食べ物を粗末にしちゃいけねえだ('◇')ゞ
PS
他の方のブログを読んで、見出しがあった方が読みやすかったので、見出しを取り込んでみました。どうです、読みやすかったですか? これからは、見出しを取り込んで、感想を書いて行こうと思います( ̄▽ ̄)
以前書いた感想も、見出しを付けたいですが、勝手気ままに書いてしまい区切りができないので編集大変でしょうね(^▽^;) できたら、します。いつも、読んでくれている人々に感謝を込めて、ありがとうございました<(_ _)>