ストーリー
19世紀、イギリス・作家を夢見るメアリーは、折り合いの悪い継母と別れ、父の友人のもとで暮らし始める。ある夜、屋敷で読書会が開かれ、メアリーは”異端の天才詩人”と噂されるパーシー・シェリーと出会う。互いの才能に強く惹かれ合う二人だったが、パーシーには妻子がいた。情熱に身を任せた二人は駆け落ちし、やがてメアリーは女の子を産むが、借金の取り立てから逃げる途中で娘は呆気なく命を落とす。失意のメアリーはある日、夫と共に滞在していた、悪名高い詩人・バイロン卿の別荘で「皆で一つずつ階段を書いて披露しよう!」と持ち掛けられる。深い哀しみと喪失に打ちひしがれる彼女の中で、何かが生まれようとしていた――。
引用元:映画『メアリーの総て』公式サイト
登場人物・キャスト
- メアリー・シェリー: エル・ファニング
- パーシー・ビッシュ・シェリー: ダグラス・ブース
- ジョージ・ゴードン・バイロン: トム・スターリッジ
- クレア・クレアモント: ベル・パウリー
- ウィリアム・ゴドウィン: スティーヴン・ディレイン
- ジョン・ウィリアム・ポリドーリ: ベン・ハーディ
- イザベル・バクスター: メイジー・ウィリアムズ
- メアリー・ジェイン・クレアモント: ジョアンヌ・フロガット
引用元:『Wikipedia』
感想
あのヴァンパイア、狼人間と並び西洋妖怪のスーパースター、フランケンシュタインの怪物。その怪物を生み出したメアリー・シェリーが、『フランケンシュタイン』を生み出すまでの物語です。
メアリーはわずか18歳で『フランケンシュタイン』を書いたって話は知っていましたが、こんな人生を送っていたのなら納得ですわ( ̄▽ ̄) メアリーの母メアリ・ウルストンクラフトは自由主義にしてフェミニズムの先駆者、父ウィリアム・ゴドウィンは無神論者にしてアナキズムの先駆者です。
そんな二人の遺伝子を引き継いで、母のウルストンクラフトを産褥熱(さんじょくねつ)により生後間もなく失い、父のウィリアムにアナキズム的思想を叩きこまれ、周囲には著名な作家や思想かも多かった、そして時代は激動の激しい19世紀。
そして極み付きは、十代で詩人のパーシーと恋に落ち
駆け落ちするも、不倫されるわ、借金作られるわ、そんな中、子供を産むも、パーシーがこしらえた借金のせいで借金の取り立てに遭い、そのせいで間接的に赤ちゃんを失うという……。10代にして濃すぎる人生ですよね(^▽^;)
それで『フランケンシュタイン』を生み出すも、女性であることでフランケンシュタインは夫のパーシー名義で出版されることになるんです。この時代は今以上に女性の地位が低いので、よくあった話です。
例えば、世界三大悲劇に数えられる『嵐が丘』の著者エミリー・ブロンテなども、男性ネームで作品を発表していたらしいです。そんな身を削る想いでやっと書き上げた『フランケンシュタイン』をパーシー名義で発表するのは、さぞ屈辱だったでしょう。
ここまで、パーシーの評価はゲスと散々なんですが、ちゃんとパーシーは自分が作者ではなく、メアリーが書いたことを発表してあげるんですよ( ̄▽ ̄) そのため第二版からはパーシーではなく、メアリー名義で『フランケンシュタイン』が店頭に並ぶことになります。
まあ、パーシーはゲスですが、そこまで悪い人ではなかったとその瞬間だけ「ああ、こういうところにメアリーは惚れたのか」とバニラもパーシーに惚れてしまいました。ようはあれです、「ヤンキーギャップ」って奴ですね( ̄▽ ̄)
何より、本作にはバイロン卿というパーシーを越えるゲスの極みが登場するせいで、パーシーが可愛く思えるのもあります。バイロン卿は自分の主治医が書いたヴァンパイアの小説を自分名義で発表して、名声を得るわ、女性を何人も捨てるわ、とんでもない奴過ぎて(^▽^;)
バイロン卿に盗作された主治医は借金とうつ病、盗作されたことを苦にして25歳で自殺……とエピローグで簡単に触れられています。そして、エピローグでパーシーのその後にも触れられていて、パーシーの元妻が自殺で死んだことにより、メアリーとパーシーは正式に結婚するも、パーシーは29歳のときに事故に遭い死んでしまうそうです……。
ゲスはゲスでもメアリーにとっては、心の底から惚れて駆け落ちまでした最愛の夫です。
赤ちゃんに続き夫まで失って……メアリーの失意は想像に難くありませんよね……。文豪と呼ばれる人たちは、凄い人生を送っている人が多いですが、メアリーも例外ではありません。世界観、豪華絢爛な衣装、美しい自然、どれをとっても素晴らしい映画でした('◇')ゞ