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ゆる~くアニメだとか、映画の感想文

映画 SF/スリラー『時計仕掛けのオレンジ』「床から音楽が聞こえていた。我が旧友ルードヴィッヒ・ヴァンの、恐ろしき第九だ」

引用元:ワーナーブラザーズ公式

 イギリスで長きに渡り上映禁止にされていたアルトラ(暴力)の激しいカルト的人気を誇るホラーショー(最高)なシニー(映画)。鬼才スタンリー・キューブリック監督の『時計仕掛けのオレンジ』をビディー(見)ました(≧▽≦)

 

 この作品が上映され間もなく、この映画に影響された16歳の少年が浮浪者を暴行の末殺害する事件が起きたそうで、それ以来、映画公開から1999年にスタンリー・キューブリック監督が死去するまでの26年間イギリスでは上映禁止にされていた呪われた映画でもありました。

 

 まるでサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』のようだと思います。『ライ麦畑でつかまえて』もジョン・レノン殺害で知られるマーク・チャップマンレーガン大統領暗殺未遂で知られるジョン・ヒンクリー、女優のレベッカ・シェイファー殺害のロバート・バルドなどの人物が『ライ麦畑でつかまえて』を愛読していたことでいわくつきの本になっています。

 

 この『時計仕掛けのオレンジ』も『ライ麦畑でつかまえて』と似たにおいが確かにするんですよね。『ライ麦畑でつかまえて』では主人公のホールデンが世の中のインチキや欺瞞や忖度を嫌い、集団主義に染まらないためには『僕は耳と目を閉じ、口を噤んだ人間になろうと考えたんだ』と考えるようになりました。

 

 で『時計仕掛けのオレンジの主人公アレックスも反社会的な方向で世の中のインチキや欺瞞や忖度などの集団主義と戦っているような印象を受けます(´・ω・) そのアウトサイダーな生き方が、社会(集団主義)に馴染めない人々の心に響くのではないでしょうか。

 

 迷信のようなものだと思いますが、世の中には人を駆り立てる作品が存在するのかもしれませんね。「信じるか信じないかはあなた次第です!」と、オカルトチックな話になってしまいましたが、R18警告は入っているとはいえ、エロティック・バイオレンスが激しいので確かに、人間の暴力性をえぐり出してしまった本作は情操教育にはよくないと思います(^▽^;)

 

 でも、残酷と美しさが紙一重なように、本作は芸術の域に達した映画だということは間違いありません。物語は主人公アレックス・デラージュの引きの強い顔のアップ↓がドンっと映し出されて、今晩の悪だくみを考えているところから始まります。

引用元:時計仕掛けのオレンジ

 半世紀も前の映画なのにファッションも古いどころか最先端を行っていると思わされるセンスをしているんですよ。まるで星新一の挿絵のような感じです。アレックスは浮浪者の老人を襲い、作家の家に強盗に入って妻を強姦し、金品を奪い悪行の限りを尽くしていました。

 

 アレックスたちの悪行が酷くて、バニラの良心が警鐘を何度も鳴らしていました(^▽^;) ですが、そのような残酷な作品でも好奇心から観てしまうんですよね。人間には本能的な残虐性が必ず備わっています。 

 

 社会生活を営む上ではそんな残虐性を否定し、非難し、隠しておかなければなりませんが、残酷な見せ物が好まれたり、例えばAⅤなどでも倫理道徳的に反したものが好まれたりするように実際のところは人間には倫理道徳に反した残酷性を好む二面性が付き物です。

 

 ですが、人間には理論的に説明できなくても、していいことと、いけないことは良心で判断できるように本能にセーフティー機能が組み込まれ、社会生活で条件付けが強化されています。

 

 もしこの映画を観て、良心のセーフティー機能が正常に機能しているのなら、あなたは正常なので安心してください。だけど、世の中には生まれつきこの良心のセーフティー機能が弱い、いわゆるサイコパシーの高い人もいるのです(´-ω-`)

 

 それがアレックスたちだといえます。犯罪分子を持つか持たないかが先天的に決まってしまうならアレックスも被害者だと言えないこともありません……。そんなある日、強盗に入った家で住人の女性を殺してしまい、独裁・恐怖政治的だったアレックスは仲間から裏切られて、一人刑務所に入れられ懲役14年刑に処されてしまいます。

 

 刑務所では模範生のように従順に数年を過ごしていたある日、アレックスはルドヴィコ療法という洗脳治療を受けることになります。治療はいたって簡単で何らかの薬剤を投与し、瞬きできないようにまぶたを固定した状態でエロティック・バイオレンスな映画を強制的に見せられるというものです。

 

 始めの方こそアレックスも楽しんで観ていましたが、次第に気分を催すようになり、最終的には半狂乱になっていました。

引用元:時計仕掛けのオレンジ

 どうですこのシーン、トラウマになりますわな(^▽^;) そんな拷問のような治療の末、アレックスは性的なことや暴力的なことをしようとすると吐き気に襲われるようになったのです。

 

『時計仕掛けのオレンジ』に登場するルドヴィコ療法という洗脳はフィクションですが、理論的には不可能ではありません。心理学の有名な実験に「パブロフの犬」というものがあります。

 

 パブロフの犬の実験とは犬にベルの音を聴かせて餌を与えます。ベルの音を聴かせてから餌を与えることを何度か繰り返していくと、犬は条件反射的にベルの音を聴いただけでよだれを出すようになるのです。

 

 つまりこの実験でわかるのは犬だけではなく、人間も『時計仕掛けのオレンジ』のルドヴィコ療法のようなエロティック・バイオレンスの映像を見たり思ったりすると不快になるという条件付けを何度も繰り返すことで再現できると思います。

 

 似たような例に幼少期、性的虐待を受けていた子供が大人になると性に対して嫌悪感を示すようなものですね。薬物を使ったり、パブロフの犬のような条件付けを行うことで人間も簡単に洗脳できるんですよ。怖いですよね( ̄▽ ̄)

 

 怖いと言っても人間みんな生まれたときから洗脳されているようなものなので、その洗脳が社会にとって良いか悪いかの違いでしかないと思いますけどね。「自分は洗脳されてないわい!」と思っている方、あえて言おう、みんな洗脳されている、と(゚Д゚)ノ

 

 洗脳されていないというのなら財布の中の野口英世樋口一葉福沢諭吉をゴミ箱に捨てるなり、燃やすなり、あげるなりしてみてください。もしできればあなたは資本主義の洗脳にかかっていないと言えるでしょう。

 

 できねえだ( ;∀;) 一円だって捨てられねえのに、野口さま、樋口さま、福沢さまを捨てるなんて罰当たりなことオラにはできねえだ( ;∀;) ですよね( ̄▽ ̄) つまりそういうことなんです。

 

 本作の主人公アレックスもルドヴィコ療法によって

暴力に対して機械的に無防備になるだけの洗脳状態……

(引用:FILMAGA)

になってしまったのです。詳しく知りたい方はフィルマガの記事をお読みください↓

filmaga.filmarks.com

 

 ルドヴィコ療法によって、反社会性を強制的に取り除かれたアレックスは晴れて刑務所をでることができましたが、家に帰ると知らない男が間借りしていて、アレックスは住む家を追い出されてしまいます。

 

 帰る家を失ったアレックスは街を彷徨っていると、かつて暴行した浮浪者の老人や、アレックスを裏切った仲間、アレックスが強盗に入った作家などに何の因果か再び巡り合い、酷い目に遭わされるんですね(-_-;)

 

 浮浪者の老人や作家にしたことは因果応報だとは思いますが、アレックスのかつての仲間たちが警察官になって、アレックスに報復するのは納得がいきません(~_~;) 改心していない悪いことをしていた人たちが警察になれているなんて……。

 

 まあ、リアルの世界でもある話なので、感情論的綺麗事を説くつもりはありませんがそりゃ腐敗もしますわな、って思います。警察になったかつての仲間にリンチされた末、アレックスはかつて強盗に入った作家の家に流れ着きます。が、そこでもアレックスは報復され、窓から飛び降りて自殺未遂を計ります。

 

 その後、アレックスを自殺に追い込んだルドヴィコ療法は非人道的だという世論が高まり、時の大統領はアレックスの望みを叶えることを条件に、アレックスに世論を操作するための広告塔になってくれと接近してきます。そして、アレックスは再び暴力性を取り戻し、物語は終わります。

 

 実は原作と映画とはラストが違うらしく、原作の方では真人間になったアレックスが温かな家庭を築こうとするらしいんです。が、出版のミスで最終章の21章が抜け落ちていたらしく、キューブリック監督は最終章が抜け落ちた原作を読んでそれを映画化したため、映画版では政府の後ろ盾を得たアレックスが再び暴力性を取り戻し、本能のおもむくままに女性と戯れている場面で終わっています(^▽^;)

 

 映画版のその後は悪い予感しかしませんよね。このラストに対して、当然原作者のアンソニー・バージェンスは映画を非難したそうです。けれど、原作者は批判的でしたでしょうけど『時計仕掛けのオレンジ』がこのラストだったからこそカルト的人気のあるシニー(映画)になったと思います( ̄▽ ̄)

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