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ゆる~くアニメだとか、映画の感想文

アニメ スポーツ/ドラマ『ピンポン』「どうしてお前なんだよっ!  一体どうしてっ!」

引用元:TVアニメ『ピンポン』公式サイト

 天性の卓球の才能を持つ星野裕(ほしの ゆたか)通称ペコと、笑わないことでみんなからスマイルと呼ばれ、機械のような正確な卓球をする月本誠(つきもと まこと)の友情と挫折と成長が卓球を通して描かれた『鉄コン筋クリート』などで知られる松本大洋(まつもと たいよう)原作のアニメです(≧▽≦)

 

 松本大洋さんと言えばミリペンとフリーハンドで描く独特の絵柄で知られているそうですが、アニメでもフリーハンド感や、松本大洋さんの絵柄が巧く表現されています。監督はアニメ『四畳半神話大系』『夜は短し歩けよ乙女』などの独特の絵柄で知られる湯浅政明(ゆあさ まさあき)さんでこれ以上の人選はないですね( ̄▽ ̄)

 

 なんせ絵柄の癖が強いので好き嫌いはわかれるかもしれませんが、この癖の強さがいい味を出していて、唯一無二の今までにない世界観を醸し出しているんですよ(*´▽`*) 絵っていうのは綺麗に正確に描けばいいってもんじゃないのです。

 

 綺麗な絵やリアルな絵は『綺麗な絵』『リアルな絵』という一つのジャンルであって、世の中には色々な技法で描かれた絵があります。『抽象画』『シュルレアリスム』をはじめとする表現方法から、『油彩』『水彩』『アクリル』などの画材によっても雰囲気は違ってきます。

 

 学校の美術の授業ではリアルで綺麗な絵を求められますが、絵を描くとは実物を写し取ることだけがすべてではないのだと思います。それなら写真の方がより正確ですし。当たり前のことを言っていますが、絵は表現方法なのですからね。

 

 自分の心情だったり世界だったりを表現できるなら、デッサンやパースが正確である必要はないんですよ。湯浅監督の絵柄が正確で綺麗な絵が求められる現代において、アニメの可能性をまた一つ切り開いたと思います( ̄▽ ̄)

 

 本編の話からだいぶそれてしまいました(^▽^;) 後半は駆け足気味に感じましたが、ストーリー構成もとってもよくって、ラスト三話くらいからの盛り上がりはすごいです! 

 

 敵校、海王のドラゴンという高校生離れした風采のスキンヘッドとスマイルだけが圧倒的に強くなりすぎて、二人とも強さゆえの孤独を感じていたのですが「ヒーロー見参!」とペコがドラゴンとスマイルを孤独から救い出してやるところとか胸むねあつ展開です(*´▽`*) 

 

 中でもバニラが一番好きな話が、佐久間学(さくま まなぶ)通称アクマがスマイルと対戦する話なんですが、これが本当にいいんですね(T_T) アクマにはペコやスマイルのような卓球の才能がないことを自覚していましたが、それでも卓球が好きでスマイルたちより10倍も、100倍も、1000倍も努力していたと語ります。

 

 そんな誰よりも卓球を愛し、努力の鬼であるアクマからしたら、ペコやスマイルのように、自分より努力していないのに、自分より強いことが我慢ならなかったのですよ……。「どうしてお前なんだよっ! 一体どうしてっ!」と泣きながら叫ぶのです。

 

 努力したのに……何千倍も……(T_T) でも、アクマはスマイルに敵わなかった。アクマはこれだけ努力していたのに、どうして勝てないのか納得できませんでした。そんなアクマにスマイルが「それは、アクマに卓球の才能がないからだよ」とキッパリ言ってやったんですね( ;∀;)

 

 才能は努力を凌駕するという残酷な現実があるのも確かでしょう……。言われるまでもなくアクマもわかっていましたが、認めることができませんでした。アクマはスマイルに闘いを挑むことで、その現実を教えてもらおうと思ったのでしょう。

 

 そして、「卓球の才能がない」という言葉を言ってもらったことで吹っ切れることができたのです。残酷なようですがスマイルの優しさなんですよね。この回が本当に巧いと思います。スマイルも卓球の才能があってもプロには行きませんでしたし、才能があってもその才能を利用できる(する)とも限らない。感慨深いシナリオです(´-ω-`) 

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