ストーリー
大富豪の娘・エリーは父親に結婚を反対された事に怒り、家出。ニューヨーク行きのバスに乗り込んだ彼女は、偶然席が隣り合わせとなった新聞記者のピーターと旅を共にすることに。さまざまなトラブルに巻き込まれながら、やがてふたりは互いに心惹かれ始め…。
引用元:https://filmarks.com/movies/19921
父親に結婚を反対されて家を飛び出した大富豪の娘エリーは、マイアミからニューヨーク行きのバスで失業中の新聞記者ピーターと出会う。最初は反発しあっていた2人だったが、旅を続けるうちにいつしか惹かれ合うようになり……。1934年度アカデミー賞の主要5部門(作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・脚本賞)を独占したロマンティック・コメディの大傑作。監督のフランク・キャプラ、主演のクラーク・ゲイブルの出世作でもある。
1934年製作/105分/アメリカ
原題:It Happened One Night
劇場公開日:1977年12月
その他の公開日:1934年8月(日本初公開)
引用元:https://eiga.com/movie/4108/
登場人物・キャスト
- ピーター・ウォーン:クラーク・ゲーブル(相沢正輝)
- エリー:クローデット・コルベール(大坂史子)
- アンドルーズ:ウォルター・コノリー(遠藤純一)
- シェプリー:ロスコー・カーンズ
- ウェストリー:ジェムソン・トーマス(佐藤晴男)
- ゴードン:チャールズ・C・ウィルソン(新垣樽助)
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/或る夜の出来事
感想
大富豪の娘・エリーは父親に結婚を反対されたことで、乗っていた船から飛び降り逃走を計る。
エリーはそのまま、マイアミ発、ニューヨーク行きのバスに乗り込むが、同じバスで隣の席になった男と、座る座席を巡り喧嘩をしてしまう。
その男とはピーター・ウォーンという、失業中の新聞記者であった。
最悪な形で出会った二人だったが、ピーターは隣に座るお嬢さんが新聞のゴシップ欄を賑わしている、令嬢のエリーであることに気づき、大雨でバスが立ち往生したことをきっかけに、二人は共にニューヨークに向かうため、偽りの夫婦を演じる不思議な協力関係を結ぶことになるが……。
このあらすじを読んで既視感を感じないでしょうか?
新聞記者と令嬢の恋物語といえば……そうです『ローマの休日』なんですよ(; ・`д・´)
制作された年代を考えると『ローマの休日』が本作『ある夜の出来事』を元ネタにしているのは間違いないです。
驚きました『ローマの休日』に元ネタがあったとはΣ(・ω・ノ)ノ!
いやはや、こうやって古い作品を観て行くと、物語の系譜を感じられますね。
知名度としては『ローマの休日』の方が有名だと思いますが、本作『ある夜の出来事』も『ローマの休日』に負けないくらい物語として面白いです。
『ローマの休日』でも同じように感じましたが、今から100年近く昔の作品と思えないくらい、ちゃんとコメディしているんですね( ̄▽ ̄)
お嬢様が海にダイブするところから始まり、ピーターとエリーの掛け合い、特にピーターとエリーがヒッチハイクするエピソードがあるのですが、そこがめっちゃくちゃ面白い(´艸`*)
ちょっとその場面を文字起こししますね↓
ピーターとエリーは道の隅で生のにんじんをかじりながら車が通るのを待っている。
エリー「誰も止まってくれないかもよ」
ピーター「ふん、止めてみせるさ。コツを心得ている」
エリー「へー、その道のプロってわけ」
ピーター「プロ? 本が書けるくらいだ。『ヒッチハイクのコツ』ってな」
そういって、ピーターはにんじんをかじる。
エリー「多芸多才のあなたに不可能はないって?」
ピーター「馬鹿にしてるのか?」
ピーターはにんじんをむしゃむしゃ租借しながら、にんじんについた砂を落とす。
エリー「いいえ、まさか」
ピーター「簡単だぞ。親指の使い方ひとつさ。下手な奴はこうだ」
ピーターは親指を立てて、腕をぐるぐるさせたり、「または、こう」と手で振ってみせる。
ピーター「こういうんじゃ、捕まらない」
エリー「それじゃあ、ダメなの?」
ピーター「ああ、親指は正しく使うこと。そこにコツがあるってわけだ」
エリー「ふ~ん」
ピーター「さて、たとえばコツその一だ。余裕を見せといて、素早く」
ピーターは余裕を見せといて素早く親指をあげた。
ピーター「よかったら、乗せろって合図さ」
エリー「すごい」
ピーター「だろ。だが、その二はもうちょっと派手だ。笑顔でこんなふうにやる」
ピーターは親指を小刻みに揺らした
ピーター「乗せれば退屈させないぞっていう合図だ」
エリー「ふう~ん。それ、全部あなたが考えたの?」
ピーター「なあに、まだまだ。極めつけは、その三だ。お涙ちょうだい型だ。はらぺこ、金なし、絶望的、その感じを出して合図をする。動きもゆっくりと」
ピーターは親指を立てた指をゆっくりと動かした。
エリー「考えたものね」
ピーター「だろ、こいつの決め手は、情けない顔をすることだ」
ピーターは情けない顔をしながら、実践して見せた。
そのとき、一台の車が二人の前を通りかかる。
エリー「車が来た!」
ピーター「よっしゃ、見てろ、その一でやるからな。親指の動きをよく見ているんだぞ」
ピーターは道路の横に颯爽と歩み寄り、親指を立てる。
だが、車は何事もなかったように通り過ぎた。
エリー「ちゃんと、親指見てたけど」
ピーター「何か、間違ったようだ」
エリー「ああ」
ピーター「次は、その二」
エリー「その百になったら、起こしてね」
エリーは腰かけていた作の上に横になった。
その途端に、今まで車通りがなかった道路に、次から次に車がやって来る。
ピーターは流れるような早業で、ヒッチハイクのコツを繰り出すが……車は一台も止まらなかった。
その様子を、エリーはニヤニヤしながら眺めていた。
ピーター「ああ、本を書くのはやめるとするか」
エリー「その方が良いみたいね」
そういい「う~ん」とエリーは背伸びをしていった。
エリー「あたしにやらせて」
ピーター「きみが? へっへっへ、笑わせるんじゃない」
エリー「うはは、無理だと思ってるのね。そのくらいできるわよ。止めてみせるわ。あたしは親指なしで」
ピーター「どんな手で?」
エリーはゆっくりとした足取りで、道路脇に向かった。
エリー「良い考えがあるの」
そしてエリーは走って来た車に向かって、スカートをたくし上げ、太ももを見せた。
すると、車は急ブレーキをかけて止まるのだった。
どうですか、この掛け合い(´艸`*)
あれだけ「ヒッチハイクのコツ」と威勢のいいことを言っていたピーターですが、結局車を捕まえられずに、エリーが太ももをみせたら、すぐに車が捕まったんですよ。
あげて、あげて、落とす、この漫才のような完璧な流れ、これが今から百年近く昔の作品と思えないくらい、現代にも通用するコメディですよね。
落語などでもそうですが、今も昔も人間が面白いと思う話は共通なんだと感慨深いですよね(´艸`*)
このヒッチハイクのエピソードの他にも、ラブコメ的なエピソードが描かれているし、最後の場面は『卒業』という映画の元ネタにもなっているそうです。
現在に続くラブコメの系譜を観ることができ、学術的価値のある映画ですし、なにより物語としてとても面白い作品でした( ̄▽ ̄)ゝ