ストーリー
地上600メートルの超高層鉄塔に取り残された2人の若者の運命を描いたサバイバルスリラー。
山でのフリークライミング中に夫を落下事故で亡くしたベッキーは、1年が経った現在も悲しみから立ち直れずにいた。親友ハンターはそんな彼女を元気づけようと新たなクライミング計画を立て、現在は使用されていない超高層テレビ塔に登ることに。2人は老朽化して不安定になった梯子を登り、地上600メートルの頂上へ到達することに成功。しかし梯子が突然崩れ落ち、2人は鉄塔の先端に取り残されてしまう。
「シャザム!」のグレイス・フルトン(グレイス・キャロライン・カリー)とドラマ「マーベル ランナウェイズ」のバージニア・ガードナーが主演を務め、2022年版「スクリーム」のメイソン・グッディング、ドラマ「ウォーキング・デッド」シリーズのジェフリー・ディーン・モーガンが共演。「ファイナル・スコア」のスコット・マンが監督を務めた。
2022年製作/107分/G/イギリス・アメリカ合作
原題:Fall
配給:クロックワークス
劇場公開日:2023年2月3日
引用元:https://eiga.com/movie/97705/
登場人物・キャスト
- ベッキー:グレイス・キャロライン・カリー(近藤唯)
- ハンター:ヴァージニア・ガードナー(潘めぐみ)
- ダン:メイソン・グッディング(左座翔丸)
- ジェームズ:ジェフリー・ディーン・モーガン(黒澤剛史)
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/FALL/フォール
感想
山でのフリークライミング中に、夫・ダンを転落事故で亡くした主人公のベッキーは、一年が経ってもふさぎ込んでいた。
そんなベッキーを父親のジェームズは心配し、ベッキーの親友のハンターに娘を励ましてくれるように相談する。
そして、ハンターはトラウマを克服させるため、すでに使われていない標高600メートルの超高層テレビ塔への登頂に誘う。
ベッキーは無理だと断るが、ハンターの押しに負けて登ることになるが……降りようとしたときに老朽化した梯子が崩れ去り
二人は地上600メートルのテレビ塔に取り残されてしまうのだった……。
という、B級映画のような作品です。
実際にB級映画かどうかはわかりませんが、主要登場人物も4人、場所も限定的で、それほど製作費をかけているようには思えないんですよね。
ですが、めちゃくちゃ面白いです(※高所恐怖症の人は注意)。
これとよく似た映画に『ザ・ウォーク』という高層ビル上空に張られた綱を渡る人物を描いた映画や、『127時間』という、岩に腕を挟まれて身動きが取れなくなった男の実話をベースに制作された映画がありますし、その他にも『十二人の怒れる男』という、一室だけで繰り広げられる会話劇の映画もあります。
さらにさらに潜水艦に閉じ込められる極限状態を描いた映画などもありますし、何が言いたいかというと、一見ジャンルの違う作品のように思われますが、限られた空間、限られた状況の中で繰り広げられるクローズド・サークル映画というジャンルがあるんですね。
ですが、高いところに取り残される展開を描いた映画は、今までありそうでなかった設定なんですよ(※バニラの知る限りでは)。
斬新でした。
夢枕獏さんの『神々の山嶺(いただき)』という小説を原作にした『神々の山嶺』の映画でも、クライミングでの落下事故が描かれていて、めちゃくちゃ恐ろしかったのですが、本作はさらに恐ろしくて、最初から最後までスリリング「手に汗握る」とはこのことをいうのだと思い知らされました(-△-;)
手だけにとどまらず、足裏まで汗がにじみ出て、ホラー映画とはまた違う人間の根源的恐怖を刺激され、こんな恐ろしい映画を観たことがありません:;(∩´△`∩);:
高所恐怖症のバニラには考えられないことですが、どうして人間はこんな危険なことを好き好んで行うのか?
人間には二種類の人間がいるそうなのです。
一つは『感受性の強い人』もう一つは『感受性の弱い人』です。
この『感受性の強い人』は刺激に敏感なので、刺激を弱めるために内向的になり、『感受性の弱い人』は刺激を求めるので外向的になるのだそうです。
何が言いたいかというと、こういう危険でスリリングなことを好む人たちは、刺激に飢えていると思うんですね。
刺激がなければ生きていることを実感できないから、刺激を求めてしまう傾向がある。
作中で『人生ははかない、人生はあまりに短い。だから一瞬一瞬を大切にして、人生を噛みしめて生きるべきだ』というセリフがあります。
人生のはかなさ、人生の短さを実感するために、ハンターたちはあえて命を危険にさらしているのではないでしょうか。
それはまるで、生きていることを実感するために自傷行為をしてしまうようなものだと思うのです。
そのように、意外と哲学的なテーマも描かれており、ハイパー・ハイアングルとハイパー・ローアングルの使い方が巧くて、正にアイデアと見せ方・構図の勝利というか、起承転結のハッキリしたわかりやすい、最高に面白い体験型のエンターテインメント映画に仕上がっています(´艸`*)