ストーリー
小学生時代いじめっ子だった主人公、ハブられる立場になって深く後悔し、いじめた相手に謝り償いたいと決意する。しかし、「許されたい」というエゴと葛藤することに・・
引用元:https://filmarks.com/movies/66190
「週刊少年マガジン」に連載され、「このマンガがすごい!」や「マンガ大賞」などで高い評価を受けた大今良時の漫画「聲の形」を、「けいおん!」「たまこラブストーリー」などで知られる京都アニメーションと山田尚子監督によりアニメーション映画化。脚本を「たまこラブストーリー」や「ガールズ&パンツァー」を手がけた吉田玲子が担当した。退屈することを何よりも嫌うガキ大将の少年・石田将也は、転校生の少女・西宮硝子へ好奇心を抱き、硝子の存在のおかげで退屈な日々から解放される。しかし、硝子との間に起こったある出来事をきっかけに、将也は周囲から孤立してしまう。それから5年。心を閉ざして生き、高校生になった将也は、いまは別の学校へ通う硝子のもとを訪れる。
2016年製作/129分/G/日本
配給:松竹
劇場公開日:2016年9月17日
引用元:https://eiga.com/movie/83287/
登場人物・キャスト
登場人物 | 声優 |
---|---|
石田将也 | 入野自由[4](小学生時代 - 松岡茉優[4]) |
西宮硝子 | 早見沙織[4] |
西宮結絃 | 悠木碧[4] |
永束友宏 | 小野賢章[4] |
植野直花 | 金子有希[4] |
佐原みよこ | 石川由依[4] |
川井みき | 潘めぐみ[4] |
真柴智 | 豊永利行[4] |
島田一旗 | 西谷亮(小学生時代 - 小島幸子) |
広瀬啓祐 | 増元拓也(小学生時代 - 武田華) |
竹内先生 | 小松史法 |
石田美也子 | ゆきのさつき |
西宮八重子 | 平松晶子 |
将也の姉 | 濱口綾乃 |
マリア | 鎌田英怜奈 |
ペドロ | 綿貫竜之介 |
西宮いと | 谷育子 |
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/映画_聲の形
感想
『週刊少年マガジン』で連載され、2015年「この漫画がすごい!」でオトコ編で第1位、「マンガ大賞 2015年」で第3位、そして手塚治虫文化賞新生賞受賞。
聴覚障害・いじめ・自殺などの難しいテーマを見事に描いた、大今良時さんの代表作『聲の形』。
テーマは重いですが、素晴らしい作品です。
物語は西宮硝子(にしみや しょうこ)という少女が転校して来たところから動き始めます。
硝子ちゃんは自己紹介の際に、聴覚障害があることを打ち明け、その聴覚障害が原因で、石田将也という少年たちのグループや、上野直花たち女子グループからも、いじめを受けることになります……。
ですが、ひょんなことから硝子ちゃんをいじめていた将也の方が、いじめられる側になってしまい、それから5年という月日が流れ、高校生になった将也は周囲から孤立し、自殺を考えるようになっていました。
母親に昔いじめの際に壊した補聴器の代金をすべて返し、最後に硝子ちゃんにもう一度会って謝り、死のうと考えていたのです。
ですが、謎の少年?に追い返されてしまい、結局会えず仕舞いでその場を立ち去ることになってしまうのでした……。
そんなこんなで死にきれないまま、一日、一日が過ぎていたある日、永塚友宏(ながつか ともひろ)という少年が不良に絡まれているところを助けことがきっかけで仲良くなりました。
永塚くんのサポートもあり、謎の少年の妨害を搔い潜り
何とか、硝子ちゃんと会うことができ、将也は昔いじめていた際に池に投げ捨ててしまったノートを返すことに成功するのです。
それから、将也は贖罪のつもりか、硝子ちゃんへの恋心からか、頻繁に硝子ちゃんと会うことになり、小学校以来、疎遠になっていた上野直花たちをはじめとする、昔硝子ちゃんをいじめていた人々と交流が再び始まることになるのでした。
そして、硝子ちゃんの転校という形でうやむやになっていた、いじめ問題と向き合うことになっていくという物語です(T△T)
聴覚障害・いじめ・自殺などのテーマを扱っているので、賛否が分かれる作品ではありますが、バニラ、漫画も持っていたくらい好きな作品です(T▽T)
確かに、いじめの加害者たちが、再びいじめの被害者の前に現れて、仲良くするという展開に違和感を感じることもあると思います。
もしバニラが硝子ちゃんの立場で、将也が現れたら拒否するでしょう。
ですが、ここがこの物語の上手いところで、いじめの加害者である将也を主人公にしているところなんですよ。
これが、硝子ちゃん目線で展開されるストーリーだったら「なんだこいつ!」と将也を見ていたでしょうが、将也目線で見せることで、いじめの加害者である将也に共感することができるのです……(T△T)
よく「いじめをした方は忘れても、いじめられた方は忘れない」という言葉を聞きますが、この『聲の形』の場合は、いじめをしていた方も忘れてはいなかったのです。
いじめをしてしまったことを心の底から反省して、「自分は生きていちゃまずい人間なんだ」と自殺まで考えるほどに悩んで来たんですよね( ;∀;)
確かに、いじめはどんな理由があってもいけないことで、いじめの加害者は罰せられるべきだと思いますが、罰せられた後は赦されるべきではないのか?という『レ・ミゼラブル』的な贖罪の物語でもあるんですよ。
『レ・ミゼラブル』の主人公ジャン・ヴァルジャンは、長い間一斤のパンを盗んだことで牢獄に入れられ、数度の脱走を図ったことで計19年もの長い間牢獄に入れられることになりました。
刑期を終えて娑婆に出て来ても、罪人ということで仕事にもありつけず、彷徨っているとある教会にたどり着くのです。
その教会の扉は常に開かれており、ジャン・ヴァルジャンは教会に中に入ると、ミリエル司教という人に出会います。
ミリエル司教はジャン・ヴァルジャンを追い返すことなく、温かい食事を与え、眠る場所を与えますが、ジャン・ヴァルジャンは夜起き出し、銀の食器を盗み教会から逃げ出してしまいます。
ですが、すぐに警察に捕まり、ミリエル司教のもとに連れ戻され、警察は食器が盗まれたことをミリエル司教に尋ねると、なんとミリエル司教は「食器はその人に私が与えた」といい、さらに銀の燭台まで忘れ物としてジャン・ヴァルジャンに渡すのです。
そして、ジャン・ヴァルジャンはミリエル司教への恩返しのために、立派な人間になることを心に誓い、黒いガラス玉や模造宝石の製造で成功したジャン・ヴァルジャンは市長にまで成り上がり、街の人々のために尽力するのです。
ですが、そんなジャン・ヴァルジャンを、ジャヴェール警部という男が追っていたのでした。
『レ・ミゼラブル』のテーマの一つは贖罪です。
「人間は変わることができるのか?」「いつまで罪を償い続ければいいのか?」
『レ・ミゼラブル』と今回の『聲の形』とでは話が違うと思いますが、本作『聲の形』の将也という少年はジャン・ヴァルジャンのように赦されていい人だと思うんですね。