ストーリー
都内にある中堅メーカー・東京建電。営業一課の万年係長・八角民夫(野村萬斎)はどこの会社にもいる、所謂“ぐうたら社員”。 トップセールスマンである課長の坂戸(片岡愛之助)からはその怠惰ぶりを叱責されるが、ノルマも最低限しか果さず、定例の営業会議では傍観しているのみ。 絶対的な存在の営業部長・北川誠(香川照之)が進める結果主義の方針の元で部員が寝る間を惜しんで働く中、一人飄々と日々を送っていた。
ある日突然、社内で起こった坂戸のパワハラ騒動。 そして、下された異動処分。訴えた当事者は年上の部下、八角だった。 北川の信頼も厚いエース・坂戸に対するパワハラ委員会の不可解な裁定に揺れる社員たち。 そんな中、万年二番手に甘んじてきた原島(及川光博)が新課長として着任する。 会社の“顔”である一課で、成績を上げられずに場違いすら感じる原島。 誰しもが経験するサラリーマンとしての戦いと葛藤。 だが、そこには想像を絶する秘密と闇が隠されていた……。
引用元:https://filmarks.com/movies/79552
テレビドラマ化もされた池井戸潤の同名企業犯罪小説を、野村萬斎主演で映画化。中堅メーカー・東京建電の営業一課で万年係長の八角民夫は、いわゆる「ぐうたら社員」。トップセールスマンで、八角の年下である課長の坂戸からは、そのなまけぶりを叱責され、営業部長・北川誠が進める結果主義の方針の下、部員たちが必死で働く中、八角はひょうひょうとした毎日を送っていた。そんなある日、社内でパワハラ騒動が問題となり、坂戸に異動処分が下される。坂戸に代わって万年二番手に甘んじてきた原島が新しい課長として一課に着任するが、そこには想像を絶する秘密と闇が隠されていた。八角役を自身初のサラリーマン役となる萬斎が演じ、香川照之、及川光博、片岡愛之助、音尾琢真、立川談春、北大路欣也といった池井戸ドラマ常連俳優が顔をそろえる。監督は「陸王」「下町ロケット」「半沢直樹」など、一連の池井戸ドラマの演出を手がけた福澤克雄。
2019年製作/119分/G/日本
配給:東宝
劇場公開日:2019年2月1日
引用元:https://eiga.com/movie/89181/
登場人物・キャスト
東京建電[編集]
営業課[編集]
- 八角民夫(やすみ たみお)
- 営業第一課の万年係長。50歳。営業会議で毎回居眠りをしている為、「居眠り八角(はっかく)」と呼ばれるぐうたら社員。作中は御前会議のような役員がいる場面以外では基本的に「はっかく」と呼ばれる。入社当時は敏腕営業マンだったが、ある出来事がきっかけで現在のようなぐうたら社員となった。不祥事の全容を知るキーパーソンである。
- 北川誠(きたがわ まこと)
- 営業部長。50歳。結果第一主義で、社内の絶対権力者。八角とは同期。営業会議においてノルマ未達の報告を受けた場合は厳しい叱責が課せられる為、原島を始めとした営業マンからは鬼だと恐れられている。なぜか、営業会議で居眠りをする八角を叱らない。
- 坂戸宣彦(さかど のぶひこ)
- 営業第一課課長。38歳。トップセールスマンで、北川から全幅の信頼を寄せられている。営業会議で居眠りを繰り返す八角とは馬が合わず、行き過ぎた叱責によりパワハラ認定されてしまい、人事部に左遷される。
- 原島万二(はらしま ばんじ)
- 営業第二課課長。45歳。名前通りの万年二番手。パワハラで左遷された坂戸の後任として、営業第一課課長となる。八角の経歴を確認の上、真相を聞いたことから、ある方針に従って行動する。
- 浜本優衣(はまもと ゆい)
- 営業第四課。27歳。寿退社を控えている。社内環境の改善のため、ドーナツの無人販売を企画した。入社してまもなく数年間は経理部の新田と不倫関係にあった。
- 佐伯浩光(さえき ひろみつ)
- 営業第二課課長代理。38歳。坂戸とは同期。
経理課[編集]
- 飯山孝実(いいやま たかみ)
- 経理部長。北川に並ぶ実力者。営業部を目の敵にしている。
- 加茂田久司(かもだ ひさし)
- 経理課長。飯山の腹心。
- 新田雄介(にった ゆうすけ)
- 経理課課長代理。34歳。営業部の粗を探すことに執着している。関西出身で妻子持ちだが、妻との仲があまりうまくいっていない。
役員[編集]
- 宮野和広(みやの かずひろ)
- 社長。製造部からの叩き上げ。梨田には頭が上がらない。
- 村西京助(むらにし きょうすけ)
- 副社長。ソニックから出向した外様の役員。梨田とは同期で出世争いをしていた。
- 稲葉要(いなば よう)
- 製造部長。
- 河上省造(かわかみ しょうぞう)
- 人事部長。
その他の社員[編集]
- 佐野健一郎(さの けんいちろう)
- カスタマー室長。元は営業部次長だったが北川に蹴落とされ、彼を恨んでいる。
- 小西(こにし)
- カスタマー室担当。
- 仁科(にしな)
- カスタマー室担当。
- 伊形雅也(いがた まさや)
- 人事部課長代理。
- 奈倉(なぐら)
- 商品企画部員。
- 前川(まえかわ)
- 高崎工場副工場長。
ねじ六[編集]
老舗ネジ製造工場。
- 三沢逸郎(みさわ いつろう)
- 4代目社長。経営難に陥っている。
- 三沢奈々子(みさわ ななこ)
- 会社を陰で支える社長の妹。シングルマザー。
トーメイテック[編集]
東京建電の下請け会社。営業一課が扱うねじの部品を一手に製造している。
- 江木恒雄(えぎ つねひこ)
- 社長。宮野社長とは同郷。
ソニック[編集]
東京建電の親会社である日本を代表する総合電機メーカー。ドラマ版ではフロンティア、映画版ではゼノックスと社名が変更されている。
- 徳山郁夫(とくやま いくお)
- 社長。社内の絶対権力者で、徳山が出席する定例会議は御前会議と呼ばれている。
- 梨田元就(なしだ もとなり)
- 常務取締役。強権的な態度で出世した。元は東京建電の営業部で八角と北川の上司だった。
- 田部(たべ)
- 副社長。徳山の腹心。
- 木内信昭(きうち のぶあき)
- 総務部長。
その他[編集]
- 八角淑子(やすみ としこ)
- 八角の元妻で良き理解者。
- 三雲英太(みくも えいた)
- 移動ベーカリーの経営者。
- 坂戸崇彦(さかど たかひこ)
- 坂戸宣彦の兄。
- 加瀬孝毅(かせ こうき)
- 社外調査委員会の一員。
監督は『半沢直樹(2013年版)』『ルーズヴェルト・ゲーム』『陸王』『下町ロケット』とTBS系「日曜劇場」枠において数々の池井戸作品を手掛けた福澤克雄。音楽もこれらの作品を手掛けた服部隆之が担当している他、日曜劇場を放送するTBSテレビが制作に深く関与している。また、キャスト面でもこれらの作品の出演者が多数本作にも出演している。
なお、本作に登場した大手電機メーカー「ゼノックス」は、後に『半沢直樹(2020年版)』の劇中で使用されたICレコーダーの製造元として設定されている。
キャスト(映画)[編集]
- 東京建電
- 八角民夫(営業第一課 "万年係長" ):野村萬斎
- 北川誠(営業部長):香川照之
- 原島万二(営業部二課長 → 営業部一課長):及川光博
- 坂戸宣彦(営業部一課長 → 人事部付け):片岡愛之助
- 新田雄介(経理課課長代理 → 東北営業所 営業部):藤森慎吾
- 浜本優衣(営業一課員):朝倉あき
- 佐野健一郎(カスタマー室長 → 小倉営業所 営業部):岡田浩暉
- 河上省造(人事部長):緋田康人
- 佐伯浩光(営業二課課長代理):須田邦裕
- 前川(前橋工場長):赤井英和
- 仁科(カスタマー室):吉谷彩子
- 小西(カスタマー室):山本圭祐
- 稲葉要(製造部長):加山到
- 奈倉翔平(商品開発部):小泉孝太郎
- 飯山高実(経理部長):春風亭昇太
- 加茂田久司(経理課長):勝村政信
- 村西京助(副社長):世良公則
- 宮野和広(社長):橋爪功
- ゼノックス
- その他
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/七つの会議
感想
日曜劇場のヒットメーカー池井戸潤の最高傑作と名高い小説『七つの会議』を原作に、『陸王』『下町ロケット』『半沢直樹』最近では『VIVANT』の演出を手掛けた福澤克雄監督が携わった『映画 七つの会議』(≧▽≦)
福澤克雄監督がキャスティングしたのだと思いますが、登場人物みんな日曜劇場でおなじみの演技派俳優たちばかりなのです(゚Д゚;)
一人にギャラいくら払っているんだろう……? と野暮なことを考えながら観ていました(^▽^;)
そんな演技派俳優たちを引っ提げて手掛けた『七つの会議』が面白くないわけがないですよね(≧▽≦)
最初から最後まで二転三転する展開と、演技派俳優さんたちの演技で画面に釘付けですよ!
本作の物語の舞台となる企業は東京健電という結構ブラックな大企業です。
事実は小説よりもなんとやらといいますか……ここには書きませんが東京健電のモデルとなった企業の候補がいくつか考察されているので、気になった方は調べてみてください(^▽^;)
そんなブラック企業東京健電で働く、及川光博さん演じる原島万二・営業部二課長は
営業二課の営業成績が芳しくないことで、香川照之さん演じる営業部長の北川誠から、まるでカイジのトネガワの演説のようなパワハラを受けていました。
さすが香川照之さん、説教させたらこの人の右に出る人はいないってくらい様になっています( ̄▽ ̄)
営業部の誰もが消沈している中で、ただ一人だけ居眠りしている飄々とした男がいたのです。
それが野村萬斎さん演じる、営業第一課の万年係長である八角民夫でした。
八角の読みは(やすみ)ですが、みんなからは(はっかく)と呼ばれています。
八角さんは「居眠り八角」と呼ばれるほどのサボリ魔で定時退社至上主義者です。
まあ八角さんは自分に与えられた仕事はちゃんとしたうえで、サボっているようなので、ブラック企業に非があるのですが……(^▽^;)
集団主義意識の高い日本の良くないところとでもいうか……みんなが忙しく働いているときに定時退社するとちょっと冷たい目で見られてしまうので、多くの人は空気を読んで時間外労働を頑張る風潮にありますが「居眠り八角」は伊達じゃない!
「そこにシビれる、憧れるぅぅぅぅ!」
八角さんはどこ吹く風、定時退社するのです(≧▽≦)
そんな八角さんに怒りを爆発させた片岡愛之助さん演じる坂戸宣彦は、ちょっと言い過ぎな人格否定の暴言を吐いてしまうのでした(≧◇≦)
すると八角さんは不敵に笑って
「パワハラで訴えてやる!」というのです。
すると、みんなはあっけにとられて笑い出すんですね(^▽^;)
何故なら、坂戸は営業部長の北川に手を掛けられていたからです。
パワハラの訴えがあっても北川が手を回せばもみ消せる――そう思われていたのですが、なんと坂戸は更迭されてしまうのでしたΣ(・ω・ノ)ノ!
なぜ北川は坂戸を助けなかったのか……?
それからというもの、八角さんに突っかかった社員たちは次から次に、破滅していくんですね。
いったい、万年係長の八角は何者なのか……?
八角さんが不正をしているのではないかという疑惑を抱き、八角さんの身辺を調べることになるのです。
最初こそ、消極的だった原島ですが、調査を進めて行く内に東京健電が隠ぺいしている根深い闇が浮かび上がってくるのでした……。
果たして、東京健電が隠ぺいしている闇とはなんなのか!
という、物語です(≧▽≦)
半沢直樹などと同様、とにかく痛快でありながら、日本社会の負の部分がリアルに描かれていて、東京健電という企業は日本企業の象徴のようなものなんですね。
八角さんと香川照之さん演じる北川が、東京健電の不正の公表を決めたときに「俺の会社人生はなんだったんだろうな……」と二人で語り合うシーンはエモエモなんですね(●´▽`●)
すべてがひとまず解決し最後、八角さんはこんな印象的なセリフを言っています。
「この世から不正はなくならない。絶対に」と。
そして続けて、八角さんは日本人の隠蔽体質はDNAに刻まれていると考察を続けます。
日本人(サムライ)は藩への忠義が「赤穂浪士」や「白虎隊」に代表されるように尊いものと思われてきました。
八角さんは藩を企業に、サムライを社員に例え「特に日本人の場合、会社の常識が世間の常識よりも大事になってしまう」と日本人のDNAレベルに刻まれた隠蔽体質に触れて、不正は絶対になくならないが、ガキみたいに「良いことはいい」「悪い事は悪い」と言い続けることで、不正は減らせると言っています。
現実の世界でも、社員たちの勇気が企業の不正を公にした事例もあります。
ときにあきらめたくなるときもありますが八角さんがいうように「良いことは良い」「悪いことは悪い」とガキみたいに言い続けることが大切なのでしょう('◇')ゞ