ストーリー
押井守監督「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」の続編。人間の脳が情報ネットワークに直接接続され、身体の機械化が進む世界。少女型の愛玩用アンドロイドによる持ち主の殺害事件が多発し、政府直轄の防諜機関・公安9課のバトーは、犯行直後の少女型アンドロイドが「助けて」という言葉を残して自壊するのを目撃する。違法アンドロイドの製造を疑った9課は、製造会社ロクス・ソルス社の捜査に乗り出し、失踪した草薙素子のかわりにトグサと組むことになったバトーは、ロクス・ソルスのある北の大地へと飛ぶ。日本アニメとしては史上初となるカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品。製作にはスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが名を連ねている。
引用元:https://eiga.com/movie/1091/
登場人物・キャスト
役名 | 日本語版 | 英語版 | |
---|---|---|---|
2005年版 | 2009年版 | ||
バトー | 大塚明夫 | リチャード・エプカー | |
トグサ | 山寺宏一 | クリスピン・フリーマン | |
草薙素子 | 田中敦子 | メアリー・エリザベス・マクグリン | |
荒巻大輔 | 大木民夫 | ウィリアム・フレデリック・ナイト | |
イシカワ | 仲野裕 | マイケル・マッカーティ | |
コガ | 平田広明 | ロバート・アクセルロッド | フレッド・サンダース |
アズマ | 寺杣昌紀 | エリック・デイヴィス | |
謎の少女 | 武藤寿美 | シェリー・リン | ローラ・ベイリー |
刑事 | 藤本譲 | スティーブ・クレイマー | カイル・エベール |
リン | 亀山助清 | ロバート・アクセルロッド | ダグ・ストーン |
ワカバヤシ | 仲木隆司 | リチャード・カンシーノ | スティーブ・クレイマー |
用心棒 | 立木文彦 | ボブ・パーペンブルック | ジョー・ロメルサ |
突入隊長 | 木下浩之 | リチャード・カンシーノ | デイビット・ヴィンセント |
サイボーグ医師 | 平野稔 | ボブ・パーペンブルック | ジョン・スナイダー |
トグサの娘 | 山内菜々 | ステファニー・シェー | サンディ・フォックス |
鑑識課長 | 堀勝之祐 | テレンス・ストーン | ロイ・エッジ |
ハラウェイ | 榊原良子 | エリン・スターン | バーバラ・グッドソン |
キム | 竹中直人 | ジョーイ・ダウリア | トラヴィス・ウィリン |
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/イノセンス
感想
神は自身に似せて人を創り、人は自身に似せてアンドロイドを創った。
人間に似せて生命体を創りたいと思うのは人間の性なのでしょうね( ̄▽ ̄)
本作『イノセンス』は『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の続編に当たる作品です。
バニラは原作読んでないアニメ勢で、アニメ版は笑い男が登場する『攻殻機動隊SAC』と『攻殻機動隊SAC2』は観ているのですが『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は観ていません。
本作を観るにあたり、ネットで簡単に前作の予習しただけなので、前作との相関性などはわかっていないのでご了承ください( ̄▽ ̄)ゞ
でも、前作を知っていなくても一つのSF作品、映像作品として十分に完結している作品になっていると思います。
とにかく映像に質量があるというか、最近の綺麗になったアニメーション映画では描くことのできないセル画(なのかな?)の良さが存分に出ています。
キャラクターもリアル寄りでリアルとの類似性が強いので映画への没入感が強く感じられた印象ですね( ̄▽ ̄)
本作『イノセンス』を始め『パプリカ』や『パーフェクト・ブルー』などなど1990~2000年代のアニメーション映画の鬱屈とした雰囲気は好みが分かれるでしょうけどハマる人にはハマりますよね(≧▽≦)
いつものように前置きが長くなりましたが、少佐(草薙素子)が人形使い(前作のラスボス?の人工知能)
と融合した後の世界で、少佐の右腕的存在であったサイボーグのバトーが
トグザと共に頻発するガイノイド(通称ハタリ)による暴走事故の調査に乗り出します。
調査を進めるうちに、ハタリ暴走事故の裏に潜む巨大な陰謀に巻き込まれていくという話になっています。
バトーの相棒は少佐という印象が強いのでトグザとタッグを組むというのは新鮮でした( ̄▽ ̄)
近年ではこのような作品がめっぽう減ってしまいましたよね(´・ω・`)
細田守監督や新海誠監督のようなローファンタジー系の、主人公たちの年齢層が低いライトノベル的な作品が多くなった印象です。
ライトノベルは好きですし、細田守作品や新海誠作品も好きなので決して非難しているわけではないことは理解してほしいですが、年齢層の高い重厚な作品も必要だと思うのです(´-ω-`)
わかってます、わかってますよ(≧◇≦)
おじさんばかりが出る暗いアニメの需要は低いということは……。
だけど、おじさんがカッコイイ作品は名作だと決まっているんですよ(''ω'')ノ(決まってはいない)
つまり本作『イノセンス』に登場するのはおじさんばかりですが、みんなカッコいい、つまり名作なんですね(≧◇≦)
登場人物たちの名言を引用した会話など難解ですが、考えさせられる作りになっています。
脳がネットに繋がっている世界なのですぐに引用文を言うことができるのでしょうけど、その引用文を選ぶセンスがいい(´▽`*)
それもそのはず監督・脚本は難解な作品を作るので有名な押井守さんです。
『メメント』クラスに難解なので、YouTubeで解説動画を観たり、解説しているサイトを調べたりして観ました(^▽^;)
最初から最後まで解説するのは不可能なので内容を要約すると、機械と人間の違いや機械の自我問題を扱った、自己言及の作品になります。
本作では機械の心と人間の心の深層に、偉人たちの真理を突いた名言で迫ろうとしているのです。
これは厨二病にはたまらない(≧▽≦)
ある考察動画を観たのですが、少佐やバトーは哲学病にかかっていると考察されている方がおられました。
本作『イノセンス』は哲学病にかかったバトーが地獄めぐりをする話だという興味深い考察をされています。
バトーは体を捨ててネットの中に消えてしまった少佐の幻影を追っているのです。
だからバトーは人形使いと融合してしまった少佐や、少佐に近い機械の方が人間より優れているというような思想を持った人々の考えに共感しているらしいのです。
バトーは遅かれ早かれ少佐と同じように体を捨ててより高次元の存在になる運命にあるのだと。
人間至上主義的価値観の人がバトーの立場に立って、この物語を見ると価値観が合わず理解することが困難です。
バトーたちの思想を理解できるのはユヴァル・ハラリ氏が提唱したデータ至上主義の価値観を持った人なんですね(;^ω^)
この映画では、人間至上主義的価値観を持つトグザと、データ至上主義的価値観を持つバトーの意見が弁証法、問答法形式で交互に展開され、視聴者は双方の言い分を聞くことになります。
どちらの言い分に視聴者は価値観を見出すのか?
トグザ視点で観るのと、バトー視点で観るのとでは、感じ方が大きく違う二重構造のすごい作品に仕上がってしまったのです(`・ω・´)b