ストーリー
1942年、ジャワの日本軍俘虜収容所。まだ夜が明けきらない薄闇の中、日本軍軍曹ハラは英国軍中佐ロレンスを叩き起こす。朝鮮人軍属が白人俘虜を犯すという破廉恥な事件が起きたため、ハラが独断で処分する立会い人として、日本語を自由に操るロレンスが必要だったのだ。そこに収容所長のヨノイ大尉の気合が響く。隙を突いて朝鮮人軍属は銃剣を自らの腹に突き立てる。ジャカルタの軍事裁判で英国軍少佐セリアズが裁かれている。彼に熱い視線を送るヨノイ。茶番の処刑劇を経て、セリアズは収容所に移送される。そして、それがすべての厄災の始まりだった……。
引用元:https://filmarks.com/movies/3580
大島渚監督が、第2次世界大戦中のジャワの日本軍捕虜収容所を舞台に、極限状況に置かれた人間たちの相克を描いた異色のヒューマンドラマ。日本軍のエリート士官ヨノイと連合軍捕虜セリアズ少佐の愛情めいた関係を中心に、日本軍人と西洋人捕虜との関係が興味深く描かれる。デビッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけしといった国内外の異色スターたちが共演。坂本の音楽も高い評価を獲得し、テーマ曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」は誰もが知る名曲となった。2021年4月、デジタル素材に修復した「4K修復版」でリバイバル公開。
引用元:https://eiga.com/movie/17648/
登場人物・キャスト
- ジャック・セリアズ陸軍少佐 - デヴィッド・ボウイ(青年期)/ クリス・ブラウン(少年期)
- ヨノイ大尉(レバクセンバタ俘虜収容所所長) - 坂本龍一
- ハラ・ゲンゴ軍曹 - ビートたけし(クレジットはTAKESHIとのみ表示)
- ジョン・ロレンス陸軍中佐 - トム・コンティ(吹き替え:池田勝)
- ヒックスリー俘虜長 - ジャック・トンプソン
- 拘禁所長 - 内田裕也
- イトウ憲兵中尉 - 三上寛
- カネモト朝鮮人軍属 - ジョニー大倉
- カール・デ・ヨンオランダ軍兵士 - アリステア・ブラウニング
- ウエキ伍長 - 飯島大介
- ヤジマ一等兵 - 本間優二
- ゴンドウ大尉 - 室田日出男
- 軍律会議通訳 - 戸浦六宏
- フジムラ中佐(軍律会議審判長) - 金田龍之介
- イワタ法務中尉(軍律会議審判官) - 内藤剛志
- 軍律会議検察官 - 石倉民雄
- 俘虜収容所勤務の兵 - 三上博史、車邦秀
- セリアズの弟 - ジェイムズ・マルコム
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/戦場のメリークリスマス
感想
『戦場のメリークリスマス』が名作と評される理由がわかりますね(*´▽`*)
大抵の物語は『バッドエンド』か『ハッピーエンド』かのどちらかに分類されるように作られています。
なぜなら、勧善懲悪のように白黒ハッキリしている方が視聴者にカタルシスを与えやすいので、受けがいいからですね。
それが大衆小説的作品、つまりエンターテインメントです。
ですが、本作はバッドエンドでもなく、ハッピーエンドでもない。
かといってメリーバッドエンドでもない気がします。
そもそもバッドエンドやハッピーエンドでは割り切れない作品だと思うのです。
ジャワの日本人俘虜収容所を舞台に、極限状態の男たちの複雑な交流が描かれた『純文学映画』なんですね(≧▽≦)
登場人物の関係性を言葉で説明しようと思ったら、それこそ長編小説並みの文字量が必要になるのですが、心理学用語で簡単に説明してしまうと『ストックホルム症候群』と『リマ症候群』のような関係性が構築されていると思います。
日本軍の兵士たちからしたら、敵軍の俘虜には厳しく当たらないといけない立場ですが、ふとした瞬間に人間らしい憐みと優しさが顔を覗かせて厳しくなりきれないアンビエントな態度をとってしまうのです。
作中で、ロレンスという陸軍中佐が日本軍に無線機を無断で所持した容疑で、セリンズと独房に入れられるシーンで、ロレンスはこんなことを言っています。
「私は個々の日本人を恨みたくない」と。
戦争がなければ、そんなことをしない人間でも「戦争」という大義名分を得たら、鬼にもなってしまう。
「罪を憎んで人を憎まず」ではないですが、それが戦争の狂気でもあるのだと思うのです(-_-)