ストーリー・解説
舞台は紀元前、ヘロデ大王の治世のパレスティナである。ユダヤ人の住む地域にベン・ハー(ラモン・ノヴァロ)、その幼友だちのメッサーラ(フランシス・X・ブッシュマン)がいた。ベン・ハーが16歳になったとき、ローマの武人となったメッサーラと再会した。メッサーラはローマ人であることをかさにきて、ユダヤ人のベン・ハーを馬鹿にした。ベン・ハーはこのことを心に刻み込んだ。
ローマから、グロウタスが執政として赴任した日に、ベン・ハーは誤って怪我をさせてしまう。ベン・ハーは母(クレア・マクドウェル)や妹(キャスリーン・ケイ)とともに、メッサーラによって捕らえられる。ベン・ハーは奴隷に堕ちた。
海賊がローマ海軍を襲撃し、ローマ側は全滅したが、軍艦の漕ぎ手奴隷だったベン・ハーは、アリウス提督(フランク・カリアー)を助け、2人だけが生き残った。アリウスはベン・ハーを養子に迎え、豊かな暮らしを与えるが、ベン・ハーは母と妹を探して旅に出た。
アラビアにたどり着いたベン・ハーは豪商シモニデス(ナイジェル・ド・ブルリエ)、その娘のエステル(メイ・マカヴォイ)に出会う。ベン・ハーとエステルはたがいに惹かれあうが、翌日、戦車競争の対戦に出場することとなる。対戦相手はメッサーラである。数万人の観衆を前にかつての友人、いまは民族どうしの威信を賭けた争いの相手である。メッサーラは卑怯な方法でベン・ハーの戦車を倒そうとしたが、そのおかげで命を落としてしまう。
対戦に勝利したベン・ハーは、この勢いに乗じてユダヤ民衆を煽り、ローマ人が処刑しようとしているユダヤの預言者イエス・キリストを救おうと呼びかける。たどりつくとキリストは、ベン・ハーの申し出を拒否する。
キリストが病気を快癒させた2人の女性がいるとベン・ハーは知る。それがまさに探していた母と妹なのだった。キリストは受難を甘受したが、そのことにより、神の恵みは、母にも妹にも、ベン・ハーにも、世界中の誰に対しても降り注ぐ。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ベン・ハー_(1925年の映画)
登場人物・キャスト
ラモン・ノヴァロ - ベン・ハー
フランシス・X・ブッシュマン - メッサーラ
メイ・マカヴォイ - エステル、シモニデスの娘
クレア・マクドウェル - ベン・ハーの母
キャスリーン・ケイ - ティルダ、ベン・ハーの妹
カーメル・マイヤーズ - アイラス
ナイジェル・ド・ブルリエ - 豪商シモニデス
ミッチェル・ルイス - 旅長イルデリム
レオ・ホワイト - サンバラット
フランク・カリアー - アリウス提督
チャールズ・ベルチャー - バルタザール、エジプト人
ベティ・ブロンソン - 聖母マリア
デイル・フラー - アムラ
ウィンター・ホール - ジョゼフ
大衆モブシーンエキストラ
レジナルド・バーカー(Reginald Barker)
ジョン・バリモア
ライオネル・バリモア
クラレンス・ブラウン
ジョーン・クロフォード
マリオン・デイヴィス(Marion Davies)
ダグラス・フェアバンクス
ジョージ・フィッツモーリス(George Fitzmaurice)
シドニー・フランクリン
ジョン・ギルバート
ドロシー・ギッシュ
リリアン・ギッシュ
サミュエル・ゴールドウィン
シド・グローマン(Sid Grauman)
ルパート・ジュリアン(Rupert Julian)
ヘンリー・キング
ハロルド・ロイド
コリーン・ムーア
メアリー・ピックフォード
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ベン・ハー_(1925年の映画)
感想
ベン・ハーが16歳になったとき、ローマの武人となったメッサーラと再会した。
メッサーラはローマ人であることをかさにきて、ユダヤ人のベン・ハーを馬鹿にした。
ベン・ハーはこのことを心に刻み込んだ。
ローマから、グロウタスが執政として赴任した日に、ベン・ハーは誤って怪我をさせてしまう。
ベン・ハーは母や妹とともに、メッサーラによって捕らえられる。
ベン・ハーは奴隷に堕ちた。
それから3年、ベン・ハーはローマ海軍の軍艦の漕ぎ手奴隷となっていた。
ベン・ハーの乗る軍艦が海賊の襲撃を受け、ローマ側は全滅。
海に放り出されたベン・ハーはアリウス提督を助けたことで、アリウスの養子となり自由となった。
自由となったベン・ハーは、生き別れになった母と妹を探す旅に出るが……。
以前『ベン・ハー(2016年)』版を観たことがありますが、今作『ベン・ハー(1925年)』版とは受ける印象が大きく違うと感じました。
『ベン・ハー(2016年)』版は因縁の相手メッサーラとの戦いに重きを置かれているのに対し、本作は「歴史ドラマ」「イエス・キリスト」の物語に重きを置かれてストーリーが展開しています。
もともと、アメリカの小説家ルー・ウォーレスが1880年に発表した原作の『ベン・ハー』の副題は『キリスト物語』らしいんですね。
そうです、この物語はベン・ハーの物語であると同時にイエス・キリストの物語でもあり、物語はイエスの誕生から始まり、ベン・ハーの人生とイエスの人生が交互に描かれながら、違う人生を歩んできた二人が最後に交わる構成で作られているのです。
ベン・ハーたちが最後に、イエスにたどり着く場面は感動的で、イエスの神聖さが際立ち、ユダヤ人が求めた救世主(メシア)という存在を強く感じることができました。
ですが、一番新しい『ベン・ハー(2016年)』版では、ベン・ハーとメッサーラの闘いをドラマチックに描くことに力を入れているため、『キリストの物語』を減らしているんですね。
そのために、フィクション色が強くなり、イエスとベン・ハーが出会う場面の感動が弱くなっている印象です。
ここは好みの問題で、メッサーラとの戦いやアクションをメインに観たい方は『ベン・ハー(2016年)』版を、キリストの物語・歴史メインに観たい方は『ベン・ハー(1925年)』版をお勧めします。
個人的には『ベン・ハー(1925年)』版の方が好みでした。
ほとんどの構図がロングで撮影されていて、まるで絵画のような構図が多いのですが、そのために客観的に観ることができて、歴史ドラマ感を強く感じられるからです。
ロングでの撮影方法は『東京物語』や『ゴッドファーザー』などが有名だと思いますが、ロング撮影のいいところは、観客と映画との距離を保てるところです。
そのため、観客は客観的に映画を観ることができ、ベン・ハーがフィクションではなく、歴史上に存在した実在の人物のように感じられ、『聖書の物語』の一エピソードを見ているような神聖な気持ちにさせられるのです。
今からほぼ100年前の作品ですが、現在でも色あせない、これから先も残り続けるであろう作品だと思いました(≧▽≦)ゝ