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ゆる~くアニメだとか、映画の感想文

アニメーション映画 SF/ファンタジー『グスコーブドリの伝記(2012)』「精神不安定なときは観ない方がいい(^▽^;)」

引用元:oldfashioned.cocolog-nifty.com

ストーリー

宮沢賢治が1932年に発表した童話を、「銀河鉄道の夜」(85)も手がけた杉井ギサブロー監督がアニメーション映画化。1920年代の冷害にみまわれた東北の森を舞台に、厳しい自然と向き合う青年の姿を描き出す。イーハトーブの森で両親と妹と幸せに暮らしていたグスコーブドリは、森を襲った冷害のため家族を失ってしまう。やがて青年に成長したグスコーブドリは火山局に勤めるようになるが、再び大きな冷害が発生。被害を防ぐためには誰かが犠牲になって火山局に残り、人工的に火山を噴火させなければならず、グスコーブドリがその役割を担う決意をする。

引用元:https://eiga.com/movie/57598/

登場人物・キャスト

グスコーブドリ
ブドリとも呼ぶ、本編の主人公イーハトーブの森に暮らす(きこり)・グスコーナドリの長男として生まれる。10歳の年から翌年にかけて連続して起きた冷害による飢饉が原因で一家離散の憂き目に遭った後、森一帯を買収した資本家の経営するてぐす工場で働くが、火山噴火による降灰被害で工場は閉鎖する。続いて、山師的な農家「赤ひげ」のもとに住み込み、農作業の手伝いと勉強に励む。その後、興味を持っていたクーボー大博士の学校で試問を受け、イーハトーブ火山局への就職を紹介される。火山局では着実に技術と地位を向上させていき、数々の業務に携わり、ひとかどの技師になる。しかし27歳のとき、またしてもイーハトーブを冷害が襲い、苦悩の末、気候温暖化のための火山の人為的な噴火計画の実行役に志願することを決心し、命と引き換えに火山のふもとに居残ることでイーハトーブを救った。
ネリ
ブドリの妹。ブドリより3歳下。冷害による飢饉の時、自宅を訪れた男に攫われてしまうが、泣き叫んだ事が却って幸いしたのか、置き去りになったところで小さな牧場の夫婦に拾われ、そこで働くようになる。後年、火山局に勤務するブドリが人工降雨を利用した施肥に関して、ある土地の農業技師から濡れ衣を着せられ農民達から暴行された事件を新聞の記事で知り、兄と再会を果たす。その時にはその牧場の主人の長男に嫁いでいた。のちに息子を出産し、母親となる。
グスコーナドリ
ナドリとも呼ぶ。ブドリとネリの父親。樵(きこり)をしていたが、2年にも渡る冷害による飢饉で困窮しきり、遂に家族に食料を残すため、家を出ていってしまった。
ブドリの母
ナドリの妻で、ブドリとネリの母親。飢饉の際、ナドリの後を追うようにやはり家を出て、二度と戻らなかった。
人さらい
序盤でネリを誘拐した男。売身目的だったが誘拐してから3日後、ネリの泣き声の大きさに耐えられなくなったか、とある小さな牧場の近くに置き去りにしてしまった。
てぐす飼い
ブドリたちの家と森一帯を買収し、てぐす工場を経営する資本家。人さらいを追って森の外れで行き倒れていたブドリに声をかけ、てぐす工場で働かせる。翌年の春、火山噴火の降灰でてぐすが全滅したため、工場を放棄し、ブドリに野原(農地)で働くことを勧めて去っていった。森を買収した際に、ブドリの両親の遺体を森で見つけ、ブドリに告げずに葬っていた事が後に判明し、ブドリはそこに父母の墓を建てた。
赤ひげ
広大な沼ばたけ(水田)を所有し、オリザ()などの投機的な作付けをしている農家の主。農業に関する知識はあまりなく、オリザに病気が出たときは、沼畑に石油を入れるといった行動をしていた。ブドリを雇って働かせるとともに、亡くなった息子の本をブドリに与えて勉強させた。旱魃が数年続いたために経営が苦しくなり、金と衣服を渡して6年間雇っていたブドリに暇を出した。後に立身したブドリが礼を言いに行き、歳をとっても相変わらずの山師ぶりだったが、暮らしは豊かになっていた。
おかみさん
赤ひげの妻。夫が投機的な作付けをすることを快く思わないが、それでも愛想を尽かさずに家計を支える。
赤ひげの隣人
赤ひげの隣に沼ばたけと水口を持つ男。自分の沼ばたけや水口に、他人が手を入れることを嫌う。
クーボー大博士
イーハトーブでは高名な学者。無料の学校を一か月間開いており、最終日に志願制の試問を行い、優秀な生徒に職を斡旋している。作中では、類を見ない優れた解答を行ったブドリに火山局を紹介した。自家用飛行船を持っており、それを使って移動している。ブドリが就職した後も、専門知識が必要な場面で相談に乗っていた。
クーボー大博士のキャラクターは、賢治の盛岡高等農林学校での恩師である関豊太郎がモデルとも言われている。
ペンネンナーム
通称ペンネン技師。火山局に務める老技師で、ブドリのよき相談相手。初登場時の年齢は不明だが、カルボナード島の人工噴火計画の時点で63歳であることが本人の口から語られている。人工噴火を起こす際の犠牲になる事を志願するも、失敗した場合に次の手を打てる者が生きるべきだとブドリに説得された。
ペンネンナーム」の名は、本作品の前身にあたる『ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記』の名残でもある。

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/グスコーブドリの伝記

アニメーション映画版・登場人物・キャスト

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/グスコーブドリの伝記

感想

宮沢賢治が生前に発表した数少ない童話の一つ。独特のネーミングセンスによって紡がれた、唯一無二の世界観『グスコーブドリの伝記』。

イートハーブの森で両親と妹と楽しく暮らしてたブドリでしたが、冷害によって植物が育たなくなり、村は飢饉に襲われました。

父は森に消えて、母も父を追いかけて家を出て行ってしまいます。

家に残されたブドリは妹のネリを護るために、残りわずかな食料を工夫して食いつなぎます。

 

ですが、そんなある日、ネリは家を訪れた謎の男に攫われてしまい……一人になったブドリは村を出て、赤ひげという男の元で働くことになるのです。

ブドリは赤ひげの元で働き、赤ひげの息子が遺した本で勉強を続けること6年。

その年は雨の降らない日が続き、赤ひげはブドリの貴重な時間を潰すのは悪いと思い、6年間共に暮らしたブドリにわずかな金と、自分が使っていた帽子を託して、暇を出すのでした。

 

ブドリは本で読んだ高名なクーボー博士を訪ねて町に行くと、クーボー博士の紹介で火山局で働くことになります。

そして、火山局での実績を確実に積んでいたあるとき、再び冷害がやって来ることを知り、ブドリは冷害を食い止めるために火山を人為的に噴火させる計画に参加します。

ブドリは火山を噴火させるために火山のふもとにとどまり、自己の犠牲によって多くの人の命を救ったのでした。

宮沢賢治は『銀河鉄道の夜』『よだかの星』『雨ニモマケズ』などで自己犠牲の精神を説いていますが、本作のテーマも一貫してゐます(´-ω-`)

 

バニラが最初に『グスコーブドリの伝記』を知ったのは『プラネテス』という漫画でした( ̄▽ ̄)

プラネテス』の中にこの『グスコーブドリの伝記』を下地にした話があるのです。

その話を読んでから『グスコーブドリの伝記』ってどんな話なのだろう……? と気になっていたのですが、なかなか読む気になれず、そんなときにこのアニメーション映画を見つけましたΣ(・ω・ノ)ノ!

 

今述べた通り、原作を読んでいないので比較することはできませんが、概要を読むと、原作と本作ではかなりストーリーが違うらしいですね。

まず、原作の方では妹のネリは人さらいの男に攫われましたが、泣き声があまりにうるさかったために、牧場に置き去りにされて、その後、ブドリと再会を果たし牧場の主人の長男と結婚するそうです。

 

ですが、本作ではネリが牧場に置き去りにされた描写はなく、ブドリはネリと再会を果たす描写はありません。

しかも本作に登場する人さらいは、人さらいではなく怪異的な存在のようで、バニラが思うに『死』のメタファーのように感じました。

そう思う根拠として、ブドリはたびたび白昼夢にて、この謎の男と遭遇しています。

ブドリが見た白昼夢の世界は、まるで『銀河鉄道の夜』のような生と死の狭間のような場所で、本作にもタイタニック号の乗客らしき人々が現れるんですよ(゚Д゚;)

さらにさらに物語の後半で、ブドリは夢の世界で謎の男が裁判官を務める裁判に出廷する場面があります。

そこで謎の男は「男の子、おまえはたびたび断りもなく、こちらに侵入している。その行いは、境界侵犯罪の適用となり、罰せられなくてはならない」と言います。

 

作品を観るに、その境界侵犯罪のセリフが表しているのは、生者が死者の国に無断で侵入したことであると思われます。

さらに謎の男=死のメタファーとする決定的な根拠は、ブドリが最期みんなを救うために、自分が犠牲になる決意を決めた際に、再び謎の男がブドリの前に現れて、ブドリを攫って行ってしまうのです。

そして、ブドリが火山のふもとにとどまったという描写をされることなく、物語はブドリが自己犠牲によって、多くの人を救ったという結果だけを示して幕を閉じるのでした。

 

原作にはネリとブドリが再会を果たすという感動的なシーンがあるのに、描かれなかったのはネリは冷害の年に死んでいるからだと思われます。

だからなのか、作中では常に死のにおいが漂っている感じがして、特に白昼夢の世界は精神にくるというか……精神が不安定なときに観ると危ない気がします(^▽^;)

ブドリの表情も乏しくて、この世のものではない感じがちょっと恐ろしいんですよね。

この改変に賛否両論あると思いますが、こういう雰囲気の物語バニラは好きですよ。

もし、観る機会があるとすれば、精神が安定しているときをすすめますが(`・ω・´)b

予告

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