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アニメ ドラマ/日常『彼女と彼女の猫 -Everything Flows-』「夏の、一番暑い日」

引用元:映画.com

『君の名は』以降、人気監督となった新海誠監督の処女作を新たに映像化した『彼女と彼女の猫 ‐Everything Flows‐』 猫視点の詩的なナレーションで、猫と彼女の日常を心理を丁寧に描写するというのは夏目漱石の『吾輩は猫である』に共通するところがあります。

 

 今触れた通り、本作は新海誠監督の『彼女と彼女の猫』を新たにリメイクした作品らしく、旧作とはストーリーがちょっと違っているようですね。旧作を観たことがないので何とも言えませんが、本作は旧作の前日譚のような作品のようです(。-`ω-)

 

 前作に登場した新海誠監督が声優を勤める猫が最後登場するので間違いありません。 ストーリーは猫と彼女と彼女の母親との、等身大の関係が主軸に描かれています。

 

 彼女の母が再婚することになり、彼女は自分がいたら再婚相手の男性と上手くいかないと母のためを想い、家を出ることを決めるのですが、そんな彼女の思い遣りは空回りして、母は結婚反対の当てつけだと勘違いしてしまいます(´-ω-`)

 

 相手のためを想ってしたことが空回りするってよくありますよね……。喧嘩しているわけではありませんが、お互いがお互いを思い遣るがためにこじれてしまった母との関係を修復できぬまま、彼女は友人とシェアハウスすることを条件に猫と一緒に家を出ることになりました。

 

 ですが数年後、シェアハウスしていた友人が彼氏と暮らすことになりシェアハウスから出て行ってしまい、彼女と猫の二人だけの生活がはじまるところから物語がはじまります。

 

 彼女は就職活動中で企業の面接を何社も受けているようですがどれも上手くいっていないようで、精神的に追い詰められ……とうとう彼女は鬱のようになってしまうんですね(´・ω・`)

 

 猫は知ってか知らずか機転を利かせて固定電話の短縮ダイヤルを押し、母に電話をかけ、様子がおかしいことを心配した母は娘の暮らすアパートまで飛んでいくと、元気のなくなった娘が顔を出すのです(;´・ω・)

 

 猫のいたずらがきっかけですれ違っていた母娘の仲は修復を果たしたのですが、最後の仕事を終えたとばかりに、その後猫は寿命で亡くなってしまいます(T_T) 時は流れ、一年後就職が決まった彼女は河川敷の高架下で、新海誠監督が声優を演じる新たな猫を拾うところで物語は終わります――。

 

 30分ほどの短編アニメですが、作画、演出、ストーリー構成、音楽どれをとっても完成度は高いと思います。新海誠監督お得意の風景描写や10代~20代のジュブナイルの繊細な心理描写も綺麗で、作中に漂うノスタルジックな雰囲気と、静かな時間の流れはまるで遠い昔を思い出すときのような気持ちにさせられます(*´▽`*)

 

 ストーリーはよくある話なのですが、文章でも絵でも説明できない「何とも言えない」感情を与えることが物語の真価だと思います。物語の真価がそのような気持ちを伝えることなら、30分ほどの短い時間ですが、本作は視聴後は押し付けがましくない爽やかな余韻を与えることに成功しているでしょう('◇')ゞ

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