ストーリー
独裁者アドルフ・ヒトラーの最期の12日間を克明に描いた実録ドラマ。ヨアヒム・フェストによる同名研究書、およびヒトラーの秘書を務めたトラウドゥル・ユンゲの証言と回想録「私はヒトラーの秘書だった」を基に、「es エス」のオリバー・ヒルシュビーゲル監督がメガホンをとった。1942年、ミュンヘン出身の若い女性トラウドゥルは、ナチス総統ヒトラーの個人秘書として働くことに。1945年4月20日、ベルリン。ヒトラーは迫りくるソ連軍の砲火から逃れるため、側近たちとともにドイツ首相官邸の地下要塞に避難する。その中にはトラウドゥルの姿もあった。誰もがドイツの敗戦を確信していたが、もはやヒトラーは客観的な判断能力を失いつつあった。「ベルリン・天使の詩」の名優ブルーノ・ガンツがヒトラー役を熱演。トラウドゥル役に「トンネル」のアレクサンドラ・マリア・ララ。
登場人物・キャスト
- アドルフ・ヒトラー(総統) - ブルーノ・ガンツ(大塚周夫)
- トラウドゥル・ユンゲ(総統個人秘書官) - アレクサンドラ・マリア・ララ(安藤麻吹)
- エヴァ・ブラウン(ヒトラーの愛人) - ユリアーネ・ケーラー(増子倭文江)
- ヘルマン・フェーゲライン(親衛隊中将、エヴァの義弟) - トーマス・クレッチマン(木下浩之)
- ヨーゼフ・ゲッベルス(宣伝相) - ウルリッヒ・マテス(水野龍司)
- マクダ・ゲッベルス(ゲッベルス夫人) - コリンナ・ハルフォーフ(寺内よりえ)
- アルベルト・シュペーア(軍需大臣) - ハイノ・フェルヒ(加門良)
- エルンスト=ギュンター・シェンク(親衛隊大佐、軍医) - クリスチャン・ベルケル(土師孝也)
- 親衛隊
- ハインリヒ・ヒムラー(親衛隊長官) - ウルリッヒ・ネーテン(大川透)
- エルンスト=ロベルト・グラヴィッツ(親衛隊大将、ドイツ赤十字副総裁) - クリスチャン・ヘーニング(古川伴睦)
- ヴィルヘルム・モーンケ(親衛隊少将、官庁街防衛司令官) - アンドレ・ヘンニッケ(田中正彦)
- ヴァルター・ヘーヴェル(外交官、親衛隊名誉少将) - アレクサンダー・ヘルト(渡辺英雄)
- ルートヴィヒ・シュトゥンプフェッガー(親衛隊中佐、ヒトラーの侍医) - トルステン・クローン(木下浩之)
- ヴェルナー・ハーゼ(親衛隊中佐、ヒトラーの侍医) - マティアス・ハビッヒ(関口篤)
- ペーター・ヘーグル(親衛隊中佐、RSD刑事部長) - イゴール・ロマノフ(大川透)
- ハインツ・リンゲ(親衛隊中佐、ヒトラーの侍従武官) - トーマス・リムピンゼル(樋渡宏嗣)
- エーリヒ・ケンプカ(親衛隊中佐、ヒトラーの運転手) - ユルゲン・トンケル
- オットー・ギュンシェ(親衛隊少佐、総統警護隊員、ヒトラーの個人副官) - ゲッツ・オットー(風間秀郎)
- フランツ・シェードレ(親衛隊中佐、総統警護隊隊長) - イゴール・ブベンチコフ
- ローフス・ミッシュ(親衛隊曹長、総統警護隊員、電話交換手) - ハインリヒ・シュミーダー
- ヘルマン・ゲーリング(国家元帥、空軍総司令官) - マティアス・グネーディンガー
- ローベルト・リッター・フォン・グライム(空軍元帥、空軍総司令官) - ディートリッヒ・ホリンダーボイマー(廣田行生)
- ヴィルヘルム・カイテル(陸軍元帥、OKW総長) - ディーター・マン(益富信孝)
- アルフレート・ヨードル(陸軍上級大将、OKW作戦部長) - クリスチャン・レドル(天田益男)
- ハンス・クレープス(陸軍大将、陸軍参謀総長) - ロルフ・カニース(坂東尚樹)
- ヴィルヘルム・ブルクドルフ(陸軍大将、OKW筆頭副官) - ユストゥス・フォン・ドホナーニ(嶋崎伸夫)
- ヘルムート・ヴァイトリング(陸軍大将、首都防衛司令官) - ミヒャエル・メンドル(側見民雄)
- カール・コラー(空軍大将、空軍参謀総長) - ハンス・H・シュタインベルク(平勝伊)
- ハンナ・ライチュ(パイロット) - アンナ・タールバッハ(梶山はる香)
- 党幹部・側近
- 総統地下壕スタッフ
- ゲルダ・クリスティアン(秘書) - ビルギット・ミニヒマイアー(西崎果音)
- エルナ・フレーゲル(看護師) - リザ・ボヤルスカヤ
- フリッツ・トルノウ(ヒトラーの愛犬ブロンディの飼育担当) - デーヴィト・シュトリーゾフ(平勝伊)
- ヨハネス・ヘンチェル(機械室担当) - オリヴァー・シュトリツェル
- コンスタンツェ・マンツィアーリー(調理担当) - ベッティナ・レートリヒ
- ワシーリー・チュイコフ(上級大将、赤軍第8親衛軍司令官) - アレクサンドル・スラスチン(大川透)
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒトラー_〜最期の12日間〜
感想
アドルフ・ヒトラーと言えば、1933年に首相に就任すると、瞬く間に軍事力を高め、ポーランドに進行し、ユダヤ人大虐殺から、優生思想を推し進めアーリヤ人による千年帝国の実現を目指し、世界を第二次世界大戦に導いた独裁者の代名詞的な人物ですよね。
物語では決まってヒトラーは暴君で残虐な人物として描かれますが、本作は今までのヒトラー映画と違って、ヒトラーという人物を『ジキルとハイド』のように二種類の人格に分けて描かれています。
一つはアドルフとしての優しい人格として、もう一つは総裁としての残酷な人格としてです。ここでは、アドルフをジキル的性格、総裁をハイド的性格と分類しましょう。アドルフは菜食主義者で
質素倹約をモットーとし、身内には優しい人物だったらしいですね。
そのため、当時は我々が思っている以上に部下や国民たちからは慕われていたらしいです。例えば、本作はヒトラーが秘書を選ぶところから始まるのですが、緊張してタイプライターのタイプが上手くできない、トラウドゥル・ユンゲの失敗を責めず、親身になってくれる場面とか見てると、心許してしまいそうになり、それが恐ろしくもあるんですよ(-_-;)
例えるなら、頼れるお父さんのようなものでしょうか? もし何らかのトラブルに巻き込まれたとき、いざというとき頼りになるお父さんと、いざというとき頼りにならない父さんだったら、どっちがいいでしょうか?
ヒトラーを演じたブルーノ・ガンツの演技力のなせる業かも知れませんが、本作のヒトラーを観ていると父性を感じます。どちらかというと祖父性と言いますか、かわいらしさすらあります。
ヒトラーが避難していた地下要塞にいる子供たちもヒトラーのことを、「ヒトラーおじちゃん」と呼んでいて、身内には慕われていたんだろうなということがうかがえますよね。
質が悪いのはヒトラーは自身が行ったことを正義であると信じて疑っていないことですよね。すべての物事に言えますが、正義の対義語は正義であり、国家間同士の正義と正義の争いが戦争なんですからね(´-ω-`)
ヒトラー本人は自身の行ってきたことを正義と思っていても、最大多数の人々にとっては悪であり、多数決原理の社会ではヒトラーは悪なのです。どれほど身内に優しかろうと、ヒトラーの意思で数えきれないほどの人々が死んでしまったのですから、ヒトラーのジキルとしての側面だけを見て判断しては行けないってことですよね。
人には善と悪の両方の顔が必ずあるので、善い顔の方だけを見て、人を判断するのは気を付けなければいけません。映像も臨場感あり、エンタメ性はありませんが、歴史好きにはオススメできる名作映画だと思いました('◇')ゞ