概要
医療機器事業の失敗によりホームレスとなったが、超難関の株トレーダー養成コースを経て一流証券会社に就職し、アメリカンドリームを成し遂げた実在の人物(クリス・ガードナー)の半生と彼を支えた息子との心の交流を描く人間ドラマ。息子役には主演ウィル・スミスの息子ジェイデン・クリストファー・サイア・スミスが抜擢。監督はイタリア映画界で活躍し、本作でハリウッドデビューを飾ったガブリエレ・ムッチーノ。
2006年製作/117分/アメリカ
原題または英題:The Pursuit of Happyness
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
劇場公開日:2007年1月27日
引用元:https://eiga.com/movie/33852/
登場人物・キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |
---|---|---|---|
ソフト版 | 日本テレビ版[6] | ||
クリス・ガードナー | ウィル・スミス | 江原正士 | 東地宏樹 |
クリストファー | ジェイデン・スミス | 小林翼 | 渡邉奏人 |
リンダ | タンディ・ニュートン | 石塚理恵 | 杉田かおる |
ジェイ・トゥイッスル | ブライアン・ホウ | 石田圭祐 | 玄田哲章 |
マーティン・フローム | ジェームズ・カレン | 稲垣隆史 | 川久保潔 |
アラン・フレーケシュ | ダン・カステラネタ | 稲葉実 | 伊藤昌一 |
ウォルター・リボン | カート・フラー | 横島亘 | 小島敏彦 |
チュー夫人 | タカヨ・フィッシャー | 定岡小百合 | 竹口安芸子 |
タクシードライバー | ズハイル・ハダド | 辻親八 | |
大家 | ヴィクター・レイダー=ウェクスラー | 浦山迅 | |
男性運転手 | ジョセフ・ヌネズ | 奈良徹 | |
ウェイン | マーク・クリストファー・ローレンス | 朝倉栄介 | |
ホームレス | ジョン・ロブ | 佐々木睦 | |
ティム・リボン | ドミニク・ボヴ | 東條加那子 | |
ディーン・ウィッターの秘書 | エリン・ビアズ | ||
フェラーリのオーナー | ジェフ・キャラン | ふくまつ進紗 | |
役員 | ジョン・コヴァセヴィッチ | 最上嗣生 | |
インターン | ケヴィン・クルック | 井上剛 | |
ロナルド・レーガン | 稲垣隆史 | ||
ヒッピー女 | ジョイフル・レイヴン | 瑚海みどり | |
バスドライバー | ラシダ・クレンデニング | 久行敬子 | |
秘書 | アビゲイル・ヴァン・アリン | 北西純子 | |
スーツを着た通りがかりの男 | クリス・ガードナー | - | - |
その他 | N/A | 斧アツシ | 中博史 石森達幸 藤本譲 島香裕 小室正幸 小形満 緒方文興 田中一永 佐藤美一 杉村憲司 小橋知子 植竹香菜 武田華 馬場典子 森圭介 |
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/幸せのちから_(映画)
ストーリー
1981年のサンフランシスコ。妻リンダと息子のクリストファーと暮らすクリス・ガードナーは、骨密度を測定する新型医療器械のセールスをしていた。大金をはたいて仕入れた時にはこの機械を「革命的な機械」と信じ、妻とともに希望にあふれていたが、いざセールスをしてみるとその機械は病院関係者にとって「レントゲンより少し鮮明に見える程度で高価な贅沢品」という無用の長物であった。そのため機械のセールスはうまくいかず税金も滞納し、妻のパートでなんとか乗り切る苦しい生活を送っていた。
そんなある日、彼は路上で「真っ赤なフェラーリ」を見かけて思わず持ち主に2つの質問をする。
- 「あなたに2つ質問がある。仕事と、その仕事にどうやって就いたんだ?」
「株の仲買人をしていて、学歴がなくてもなれる」と返された彼は、株に興味を持ち始め、たまたま見つけた証券会社の養成コースに願書を提出する。半年間の研修期間で定員は20名、その中で選ばれるのはたった1名。しかもそのためにはまず研修生に選ばれることが必要だった。そこで彼は人材課長のトゥイッスルに近づき、彼が持っていたルービックキューブ(当時テレビにも取り上げられるほど大流行していた)を数分で完成させ、驚かせる。そうしてトゥイッスルに認められたクリスは研修プログラムに合格、参加することになる。だが研修期間中は無給であった。もし1名に選ばれなかったら半年間が無駄になる。
そんなとき、とうとうリンダが苦しい生活に耐えかね、息子を連れて出て行ってしまった。クリスは保育所から息子のクリストファーを連れ帰ったものの、大家には立ち退きを命じられ、駐車違反で一晩拘留されてしまう。持ち前の誠実さと機転で研修生にはなれたが、息子と2人で安モーテルに住むことになった。幸い機械のセールスはうまくいき、4か月で売り切るが、一息つく間もなく税の未納分として、そのほとんどを差し押さえられてしまうのである。
行くあてもなく文字通り路頭に迷う2人は、駅のトイレや教会などを転々とするホームレス生活を送る。貯蓄も家もなく、明日も見えない辛い日々の中、クリスを突き動かすものは、この生活から脱け出し幸せになりたいという思いと、父親も知らず育った自分のような境遇を息子に味わわせたくない、という息子への愛情であった。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/幸せのちから_(映画)
感想
本作は医療機器事業の失敗でホームレスに陥るも、超一流の株トレーダー養成コースを経て一流証券会社に就職。
後に自ら証券会社を起業し評価の高い一流企業にまで成長させアメリカンドリームを成し遂げた実在の人物クリス・ガードナーが、一流証券会社に就職するまでの伝記になります。
最初、あらすじだけ読んだ限りでは、まるで宝くじが当たるような、わらしべ長者的な派手なアメリカンドリームを想像していたのですが、派手さはまったくなく、どちらかというと悪い事の連続で、どん底まで落ち切り、やっと這い上がるところで物語が終わる映画でした。
「え、これで終わり……」となるのですが、『大吉は凶に還る』というように、最高の場面まで描いてしまうと凶に還る不安があるので、あえてこれからの成り上がりを描かないところが、末吉のような希望を感じさせていいのだと思います。
漫画などの続き物では不完全燃焼だと思いますが、映画ならではの構成だと思います。
そして本作のタイトルにもなっている『幸せのちから』とはアメリカ独立宣言における「幸福の追求(The pursuit of happiness)」に由来するそうで、物語の節目節目に、ウィル・スミス演じるクリス・ガードナーがこの「幸福の追求」について言及しており、この物語のテーマでもあると思います。
幸福は待っていてもやっては来ず、追及しなければならないというようなことが語られています。
この作品を観ていて思い出した名言があります。
西尾維新さんの『物語シリーズ』に登場する「僕はキメ顔でそう言った」というのが口癖の斧乃木余接(おののきよつぎ)という登場人物が言った
「不幸でい続けることは怠慢だし、幸せになろうとしないことは卑怯だよ」
という言葉です。
このセリフを始めて聞いたときバニラは、名言であることは認めるものの残酷な言葉だとも思いました。
この言葉は言ってしまえば王貞治さんが言ったという「報われない努力は努力とはいわない」という言葉と似ていますよね(^▽^;)
たぶん王貞治さんが言った実際の意味とは誤解されて世に広まっていると思いますが、この言葉は結果論で結果主義的な気もして卑怯な主張ですよね……。
だって、世の中には努力して、幸せになろうとしているのになれない人も大勢いるわけで、そんな人たちに対して「努力が報われていないのだから、それは努力とはいわない」なんていうのは酷です。
ではなぜそのような人が努力したのに報われなかったのかというと、やっぱり運がなかったからなんですよね。
「運も実力のうち」といってはそれまでですが(^▽^;)
作中でクリスと息子のクリストファーが神様についてこのような会話をしています。
「溺れた人がいて、その人の前に船に乗った人が駆けつけた。しかし、溺れた人は『神様が救ってくれる』といってその船を見送った。そしてまた、その溺れた人の前に船が駆けつけるが、またも『神様が救ってくれる』といって船を見送る。溺れた人は、結局溺れて死んでしまい、天国で神様に訊いた『なぜお救いくださなかったのか?』と、すると神様はこういった『二回も船を差し向けた』」。
ニュアンスは違いますが、似たようことを言っています。
つまり、『幸運の女神には前髪しかない』『人事を尽くして天命を待つ』ということわざがあるように、幸せになる努力をしていない人の前にいざチャンスが現れても、チャンスをつかむことはできないという比喩だったのだと思います。
クリス・ガードナーは能動的に幸せになる努力をしており、様々な幸運の予兆を見逃すことがなかったから成功できたのだと思いました。
まるで自己啓発書のような物語ですが、説教臭さは微塵もなく、父と息子の親子愛が描かれた感動作です( ̄▽ ̄)ゝ