ゆる文

ゆる~くアニメだとか、映画の感想文

アニメーション映画 ファンタジー/アドベンチャー『鹿の王 ユナと約束の旅』「運命に抗え。未来を変えろ」

引用元:yahoo!映画-yahoo! JAPAN

 スタジオジブリで『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』の制作に携わった安藤雅司(あんどう まさし)さんと、同じくスタジオジブリ宮崎駿さんの助手を務めた宮地昌幸さんタッグで監督を務め、神作画で定評のあるProduction I.Gが制作したのが、日本のファンタジー小説家、上橋菜穂子(うえはし なほこ)さんの『鹿の王』です!

 

 謎の疫病、黒狼熱(ミッツァル)が都で猛威を振るう世界。戦に敗れ、奴隷となった主人公ヴァンは岩塩鉱で黒狼に噛まれ、黒狼熱の抗体を持つこととなった。そんなヴァンは、岩塩鉱で身寄りのない少女ユナと巡り合い、家族として共に生きることを決める。

 

 だが、そんな二人をアカファ国とツオル帝国が追う……。本作は黒狼熱(ミッツァル)という黒死病のようなウイルスを扱った医療ファンタジーということで、日本本屋大賞と日本医療小説大賞をダブル受賞した作品になります( ̄▽ ̄)

 

 丁度巷ではコロナで賑わっている時期ということで、謎のウイルスを扱った本作はテーマ的にドンピシャですよね。そんな、謎の疫病に本作のもう一人の主人公であるホッサル

引用元:アニメーション映画『鹿の王 ユナと約束の旅』

という医術師が治療方法に迫る、医療ミステリーでもあります。上橋さんらしい、中央アジアのような世界観がとてもいいですね( ̄▽ ̄) 西洋ファンタジーは日本に数あれど、アジア圏なのにアジアンファンタジーって少ないですよね。

 

 バニラはアジアンファンタジーが好きなので、以前から上橋さんの『守り人シリーズ』『獣の奏者』『鹿の王』は読んでいたんですよ。上橋さんは文化人類学者でもあるので、文化的考察の緻密な描写が良いのです。

 

 ですが、原作小説は単行本で上下巻、文庫で四巻からなる長編だから緻密に描写することができましたが、本作は2時間に満たない映画にまとめるには難しく、総集編のようになってしまった感は否めません……。

 

 何度も言いますが、上橋菜穂子さんの原作の良さは、文化・風習の緻密な設定と描写で、本作ではそれがまったく活かされていないんですよね(^▽^;) 映画は世界観の掘り下げるだけの尺が圧倒的に足りません(>_<)

 

 ただでさえ、本作『鹿の王』は上橋作品の中でも難しいのに、ここまで情報を省かれてしまってはわかりようがないと思いました……。それに、上橋さんの作品は映像向きではないとバニラは思うのです(^▽^;)

 

 小説には映像化向きの作品と、映像化に向かない作品があると思うのです。映像化向きの作品はいわゆるエンターテイメントの大衆小説で、物語の起承転結でちゃんと盛り上がりどころを作っている作品だと思います。

 

 それに比べ、上橋さんの作品は、粛々と物語が進み映像として観るには盛り上がりに欠けるところが無きにしも非ずなんですよね……。『守り人シリーズ』は女用心棒のバルサの戦闘描写や、タンダとの恋愛要素、チャグムの成長と政治的話などもあり、『獣の奏者』は『ファンタスティックビースト』のような盛り上がりどころも多いので映像化も可能でしょうが、本作は、戦闘描写もほぼなく、政治的側面も描き切れておらず、中途半端な印象……。

 

 作画はProduction I.Gということで、神作画ではあるんですが、どうしても『もののけ姫』と対比してしまう構成になっていて、ジブリの凄さが実感できてしまうのです(^▽^;) 

 

 もちろん『鹿の王』を批評しているわけではなく、原作小説は世界観や文化人類学的な側面の作り込みがすごく、面白いですからね(^▽^;) アニメーション映画も、当然面白いですが、前後編で分けられていれば、もっと世界観も掘り下げられて、上橋ワールドを構築する文化・風習が描けたと思うと、惜しいと思いました。

www.youtube.com