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映画 ホラー/ロマンス 『ぼくのエリ 200歳の少女』「村は死によって包囲されている」

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引用元:Amazon

 何て美しい物語なんだっ(≧▽≦)北欧の美しい景色と、雪に閉ざされ鬱屈とした雰囲気、病的なまでに美しい狂気の関係性。こういう雰囲気の映画、すっきゃねん(≧▽≦) 邦題に200歳と表記されている通り、そのエリという子は人間ではなくヴァンパイアなんですよ。つまり、ヴァンパイア物語です。ヴァンパイアであるエリは人の血を吸わなければ生きていけません、だから各地を定期的に渡り歩き比較的ひっそりと生きているのです。そんな最中に、12歳の少年オスカーとエリは知り合うのです。

 

 オスカーは学校でいじめられていて、母子家庭という事情から家庭でも孤独を抱えて生きていました。そんな孤独なエリとオスカーが巡り合ったのは必然的なことだったのでしょう。二人の家は隣同士で、壁を叩いてモールス信号で得やり取りをするという関係になります。壁越しにモールス信号でやり取りをするって、なんてロマンティックなんだっ! 心に響く物語を見たり、読んだりした後って、その心に響いたシーンをいつまでも憶えているじゃないですか。バニラは、この二人の壁モールス信号を克明に憶えています(≧▽≦) ツートンツートンツーツーツートン(。´・ω・)? 絵になり過ぎです。

 

 エリと知り合ったことで、オスカーは精神的に強くなり、体を鍛えてとうとういじめっ子たちにやり返せるようになったのでした。友情、努力、勝利の王道ではありますが、この作品の雰囲気は熱血というより、終始冷かです。そんなこんなで、二人は少しずつ心の距離を縮めていきますが、ヴァンパイアであるエリは血を吸わなければ生きていけないので、今までエリの父親だという男性がエリのために人を殺して血を集めて来ていたのですが、運悪くというべきか、運が良かったというべきか、犯行に失敗してしまうのです。

 

 このままではエリにまで危害が及ぶと考えた男性は、硫酸を自らかぶり身元をわからくしました。そのまま病院に運ばれるのですが、男性は病院を抜け出して最期エリの前で意味深になくなります(´・ω・`) そこから、エリの生活は狂い始め、とうとうストックホルム郊外の町から立ち去ることになるのです。それに並行して、オスカーにやられたいじめっ子グループがオスカーに仕返しするためにプールにやってきます。何と、オスカーを事故に見せかけてプールに沈めて本当に殺そうとするという殺人未遂を起こしているとき、エリがやって来ていじめっ子グループたちを皆殺しにするという戦慄の一幕がありましたΣ(・ω・ノ)ノ!

 

 いよいよ物語は終幕に差し掛かり、最後衝撃的な展開になるのですが、オスカーも立ち去るエリについて行くところで物語は終わるのでした。つまり、オスカーはエリに付き添っていた男性と同じように、エリのために人を殺して、エリのために食料を集めることになるのでしょうし……二人のこれから先を考えると破滅しかありません……( ;∀;)

 

 終始鬱屈として残酷なグロいシーンもありますが、残酷と美しさとは紙一重なのですよ。苦しみが多いほど感謝の気持ちが湧き上がるように、残酷であればあるほど世界の美しさは顔を覗かせます。末期の眼に映る世界は美しいのです( ;∀;) これを観ていて、小野不由美さんの『屍鬼』という吸血鬼小説があるのですが、その『屍鬼』にめっちゃ似ていると思いました。屍鬼の最後もエリのような吸血鬼と、オスカーのような男が……(´・ω・`)

 

PS このような邦題を見るたびに思うのですが、原題の改変が過ぎるものや、ストーリーのことを考えていない邦題がありますよね。この映画の邦題も正にそれです。200歳の少女という副題を付けなくても、『ぼくのエリ』だけで良かったと思うのでした(´-ω-`)